DNAやタンパク質をモデルとするプログラムされた合成高分子の
折りたたみによる多環多重縮合トポロジーの構築に成功
本学大学院理工学研究科の菅井直人氏(博士1年生),平郡寛之氏(修士2年生),山本拓矢助教,手塚育志教授らの研究グループは,合成高分子のプログラムされた折りたたみによる多環多重縮合構造の構築に成功しました.まず,同研究グループで開発された単環状高分子合成プロセスであるElectrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process (ESA-CF法, 用語1)と高効率のクロスカップリング反応として知られるクリックケミストリー(用語2)を組み合わせて多環状高分子を合成しました。さらに,分子内オレフィンメタセシス(用語3)によりこれらを折りたたむことで多環縮合型高分子の選択的合成を達成しました.本研究は,環状のタンパク質やDNAなどのフォールディング機構の解明につながると期待されます.
この成果は,米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」Volume 133, Issue 49, pp. 19694–19697 (2011)に掲載されました.
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*本学ホームページ(最近の研究成果:DNAやタンパク質をモデルとするプログラムされた合成高分子の折りたたみによる多環多重縮合トポロジーの構築に成功)
(1) ESA-CF法:末端にカチオン性官能基を有する直鎖状高分子と多価アニオンとの静電相互作用による自己組織化を利用し,環状高分子を選択的に合成する手法.
(2) クリックケミストリー:温和な条件で選択的かつ高効率に進行するクロスカップリング反応.代表的な例として,本研究で用いたアルキン−アジド間のHuisgen反応が挙げられる
(3) オレフィンメタセシス:C=C不飽和結合の組み換え反応。2つの末端オレフィン間でこの反応が起こると、環状分子を形成し内部オレフィンが生成する.