
専攻について
本専攻は、材料工学を基礎においた“有機材料工学科”と応用化学系3学科を母体とした“高分子工学科”が大学院で融合し、平成11年に改組されて現在のかたちとなりました。本専攻の講座群は、その名の通り、有機の(=炭素を含む)低分子物質・高分子物質の合成、反応、構造、物性、機能、加工について、広い範囲から研究することを目的として組織されています。 遠くギリシャ・ローマの時代から、文明の基礎となる都市産業、そして人々の暮らしは、種々の材料を抜きにしては語れません。“石の文化”であるヨーロッパに対し、“木と紙の文化”である日本そしてアジアでは、有機・高分子物質が、われわれの身近なところで常に重要な位置を占めてきました。
現在社会においても、身の回りに有機・高分子物質でないものを探すのが難しいほどです。もちろん、われわれの身体そのものが巨大な有機・高分子物質の高度組織体にほかなりません。しかし、このように身近な物質も、学問の一分野として成立したのはたかだか数十年前に過ぎません。それまでは、材料として重宝されながらも(例えば、衣服や住居材料など)、高分子物質がどのような物質かについてはあまり感心がもたれませんでした。しかし、第2次大戦後の有機・高分子工業そしてそれを支える有機材料科学・高分子科学の発展には目を見張るものがあります。
本専攻は、日本のそして世界の“有機・高分子物質研究の中心”(Center of Excellence)として、35年以上にわたり、高い研究成果と優秀な人材を輩出してきました。そして現在も高い研究のアクティビティを維持しながら、教育(人材育成)に全力で取り組んでいます。