
専攻長挨拶
![]() 専攻長 芹澤 武 |
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有機・高分子物質は、近代人の豊かな生活レベルを維持・発展させるために必要不可欠な物質群です。炭素を主成分とし、水素、酸素、窒素などから構成される有機物は、その組み合わせにより、数限りない様々な分子を構築することができます。さらに分子設計と分子の空間的な配列の制御により、有用で価値ある高機能を持たせることができます。
ターゲットとする性能を目指して分子設計を行い新物質を作り出すことができることは、有機物研究の醍醐味のひとつです。いっぽう、配列制御の手法にも、外場刺激を手段とするものに加え、分子レベルでの集合体形成・自己組織化などの方法があり、二次元的あるいは三次元的に規則正しい超構造を備えたナノ物質・ナノ材料を構築することができます。ここでは、分子設計の考え方と組織構造設計の考え方が密接にリンクすることになります。さらに数千〜数百万の分子量をもつ高分子材料については、共重合体、ブレンド、アロイ、さらに異種材料とのハイブリッド化などの方法を利用することができます。
有機・高分子物質は、力学特性、光学特性、易加工性など有機材料の特長として知られている様々な高機能を示すばかりでなく、金属やセラミックスに特徴的と考えられている導電性、磁性、非常に高い耐熱性さえ示すことがあります。対象とする物質群はカーボンファイバーやナノファイバーから液晶、イオン液体、有機エレクトロニクス材料、バイオテクノロジーなどに広がっており、比較的、応用に直結する分野であると同時に、物理・化学・工学的手法を駆使した先端的サイエンスを展開することができます。有機・高分子物質は、様々な応用範囲に向けて、大きな可能性と高い潜在力を持った材料であり、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーおよびインフォメーションテクノロジーなどの先端分野と強く連携しながら、急速に発展しています。
東工大の有機・高分子物質専攻は、有機・高分子物質の分野における高等教育と研究・開発において強いリーダーシップを発揮し、世界でトップクラスの教育・研究グループとして世界から認知されています。現在、専攻には有機・高分子物質の魅力に惹きつけられた50名規模の教員が所属し、約200名の学部学生、約150名の大学院生に向け、充実度の高い学部・大学院教育と活発な研究活動に取り組んでいます。また、多数のポスドク、会社派遣の研究員、外国研究機関からの滞在研究者が滞在していることも、われわれの専攻の活動度の高さ、社会的・世界的認知度の高さを物語っています。柔軟でありながら優れた力学特性を示すことは有機・高分子物質の特徴でもありますが、柔軟に思考すると同時に粘り強く真理の探究を行う、ともに研究する仲間を歓迎します。