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液晶を使って光ダイオードを作製
“Electro-tunable optical diode using an anisotropic layer sandwiched by hetero-photonic bandgap cholesteric liquid crystal films” J. Hwang, M. H. Song, B. Park, S. Nishimura, T. Toyooka, J. W. Wu, Y. Takanishi, K. Ishikawa and H. Takezoe,
Nature Materials, 4 (2005) 383-387.
電気回路で使われるダイオードは順方向には電流を流すが、逆方向には流さない素子としてよく知られている。光の世界でも同じで素子の順方向には光を通すが逆方向には通さない光ダイオードは直線偏光子とファラデー素子を用いた光アイソレーターとして実用化されている。
![]() 図1:左右の円偏光子を通して見た2種類の昆虫 |
論文では液晶のフォトニック効果を用いた電場変調可能な光ダイオードを報告している。その構造はいたって簡単である。構造と機能を説明する前に昆虫の羽根の説明から始めよう。
図1の2種類の昆虫の羽根は異なった構造を持っている。左の昆虫はコレステリック液晶と同じ左らせん構造を持っており、左円偏光のみを反射する。一方、右の昆虫は半波長板の厚さを持つネマチック液晶と同じ一軸性の膜を2枚の左らせんコレステリック膜で挟んだ構造をしている。左円偏光を反射するだけではなく、ネマチック構造で右が左に変化するので右円偏光も反射する。光ダイオードを作ったのは右の昆虫の羽根の構造の改良版(2つのコレステリック膜のらせんピッチが違うだけ)である。原理は図2を見て考えていただきたい。電場をかければネマチック液晶は配向変化を起こし、位相差が変化するので連続的に透過率を変えることができるのも特徴である。
図2: 液晶を用いた光ダイオードの構造