水素原子の波動関数

s軌道

p軌道

d軌道


先ずは1s軌道である

先ずは1s。中心の赤い部分は波動関数の値が正で大きく、緑の部分は0に近い。中心から単調に減少する関数になっている。この図では1/8部分を切り取って中を見えるようにしているが、その断面で波動関数は同じように単調に減少している。1sの波動関数は球対称性を持っていて、特別な方向は存在しない。

上の図では波動関数のある部分とない部分の境界がはっきりしているが、実際の水素原子では波動関数は決して上の図のようにある半径で突然0になるものではなく、連続して減少していくものである。その様子を図示するのは楽ではないのだが、あえてやってみると

こんな感じになるかもしれない。影の部分を見て頂ければお分かりのように、外周部はぼけて値が小さくなっている。

続いて2sの波動関数である。2sの波動関数も特別な方向を持たずに球対称を保っている。しかし波動関数は中心部の正の部分から0をよぎってマイナスになり、そして、また徐々に0に向かって戻っていく。

図を見ると中心が赤くてその回りが緑になり一瞬黒い影が見えている。ここが1回目に0を横切るところである。その外側は薄く青みがかっており関数の値がマイナスになっていることを示している。

1sと2sの図は異なる縮尺で描いている。同程度の縮尺で描くと1sは

2sは

となり、随分と大きさが異なるのが分かると思う。

調子にのって同じスケールで3sを描いてみると

となる。中央部の赤いプラスの部分から中心付近の影を通りマイナスの青い部分になり、さらに0を横切ってプラスになる。2回目に0を横切るときは関数の傾きが緩くなっているので、0に近い部分の距離が大きく、空洞に見える部分も大きくなっている。そして、プラスの部分もはるか外側に拡がっているので、計算した領域(立方体)の形がくっきりと表に出てしまっている。計算範囲を広く取って一番外側のところも球になるように描くと

こんな感じになる。これは先ほどに比べて描く範囲を5/3倍まで広げている。3s軌道の核の部分を拡大すると

となり、確かに、プラスからマイナスにふれているのが見て取れる。


続いてp軌道である

p軌道はl=1に相当する軌道で3重に縮退している。3つの軌道はml=0に対応するpz軌道と、ml=±1の線形結合で作り出されるpxとpy軌道である。先ずは2pxを見てみよう。

ごらんのように2つの団子が積み重なった形である。上の団子は中心がプラスで大きな値で周辺に連続的に小さくなる。下の団子は中心がマイナスで大きな値で周辺で連続的に大きくなり0に近づいている。プラスの領域とマイナスの領域の間には節がある。横から見ると節の存在はより明確になる。

p軌道の場合も、s軌道と同じように波動関数は決してある部分で不連続に0になるのではないことに気をつけなければならない。境界は、あくまでも、見やすくするために存在しているものである。

続いて3p軌道を見てみよう。3p軌道の球面調和関数は2p軌道と同じである。ただし、動径波動関数は異なっていて、途中で符号が反転する。

ついでに真横から見た図を示すと

となる。上の領域はプラスから0を経てマイナスの領域に、下はマイナスからプラスに変化していることが分かる。


最後はd軌道である

d軌道はl=2の状態に対応し5重に縮退している。p軌道が3つとも同じような形であったのに対し、d軌道は似たような形の4つの軌道と外とは異なる一つの軌道に分かれる。外と異なる軌道はml=0に対応しdzz軌道とよばれる。

これが3dzz軌道である。これでは分かりにくいので切断面を用意した

ごらんのように上下で波動関数は中心がプラス、ドーナッツ部分は中心がマイナスになっている。これはl=2、ml=0の球面調和関数がz軸に垂直に2つの節を持っていることに対応している。

dzz以外のz軌道は

上の図のように2つの節があり切断面を見ると

と、プラスの波動関数とマイナスの波動関数部分が90度刻みで連なっている。図の鉛直方向には節はないので、そちらの断面は

のように節などは存在していない(これは上の図を45度回転させて全面を切断した図になっている。)。