全体の目次

目次

銀塩写真
  • 銀塩写真小史
  • 銀塩写真の化学
  • 露光と画像濃度
  • フィルムの種類
白黒写真と暗室技術
  • 白黒フィルム
  • フィルターワーク
  • 種々の現像処理
  • 密着焼と引き伸し
  • 後処理
  • 特殊写真処方
  • 青焼きスライド等
カラー写真
  • ネガとポジ
  • 色温度とフィルター
  • 現像所への指示

接写及び実験器材の撮影

  • 器材
  • カメラ
  • レンズ
  • 複写台
  • 照明
  • 露出計
  • その他
  • 接写の実際
  • 実験器材撮影

顕微鏡写真

  • 顕微鏡撮影装置
  • ピント調整
  • 露出調整
  • ストロボ撮影
デジテルカメラ

銀塩写真

銀塩写真小史

 写真感光材及び写真機の歴史は、他の多くの技術の産物と同様に時代の流れとともに徐々に発達しており、どの時点をもって写真術が完成したかの判断は難しい。しかし、ハロゲン化銀を用いた写真に関しては話は比較的簡単で、1835年のTalbotによる塩化銀を用いた感光材料によるカロタイプが端緒となっている。
塩化銀の感光作用はすでに1565年にドイツのフライブルヒ鉱山から産出する角銀鉱が日光により変色する原因が塩化銀にあることを突き止めたFabriciusの仕事により明らかにされていた。そして、1777年にはScheeleにより塩化銀の変色は還元反応によることが示されている。塩化銀の感光作用を利用した写真の研究も1700年代には行われているが、画像を定着固定することができずに、今日につながる写真に誕生は19世紀のTalbotによるハイポによる定着技術の開発を待たなければならなかった。
Talbotの発明の後、1851年にはコロジオン湿板法が開発され、そして1871年にはMaddoxによりゼラチンを支持体に使った乾板が発明された。また、1988年にはEastmanによりロールフィルムと、そのフィルムを使用するボックスカメラが発明され写真は普及していった。

日本においては、1883年に深沢が写真乾板製造所を起こしたが失敗し、その後の浅沼商会などの試みも成功をおさめず、1902年に初代小西六右衛門が六桜社を起こし、これが日本の写真感材工業の揺籃とされている。その後、1934年に富士写真フイルムが発足した。現在では六桜社から続くコニカ、フジフイルムの他、印画紙を主にしているオリエンタルと三菱製紙が我が国の銀塩感光材料の供給元となっている。また、現像に用いる薬品は上記のメーカーの他に中外薬品などの品がカメラ店に置かれている。
輸入の感光材料としては、質・量ともに米国コダック社の製品が多いが、その外に英国イルフォード社やドイツのアグファ社、米国3M社などの製品も大きなカメラ店では入手可能である。

銀塩写真の科学

 ハロゲン化銀はイオン結晶で、結晶の中では銀原子からハロゲン原子へ電子が移動している。この結晶が、吸収波長の光を受けると電子は励起される。例えば塩化銀なら
Cl-+Photon → Cl +Electron
Electron+Ag+ → Ag 
という反応が起きる(光電荷移動)。この反応に対して
Ag+Cl → Ag++Cl-
という逆反応も存在するが、光励起された電子が結晶中を移動して、周囲のハロゲンがイオン状態にある銀原子イオンを還元したり、中性となったハロゲン原子が結晶の周囲から電子を得てイオン化すれば還元された銀原子は準安定に存在できるようになる。こうして発生した銀原子は結晶中でランダムに発生するのではなく、実際には結晶のある部分に集合し、感光核(潜像)を形成する
現像のプロセスで還元作用のある現像液は感光核に作用して周囲のハロゲン化銀を還元し銀粒子の画像を形成する。銀塩写真は、光によるハロゲン化銀の還元と、現像液による増幅プロセスの2段階を経て画像を形成している。

 ハロゲン化銀の吸収端は塩化銀で200nm以下にあり、最も長波長側に吸収端を持つ沃化銀でも450nm程度である。従って、ハロゲン化銀粒子のみを感光材料として使う限りは写真フィルムは紫外線~青色の光にしか感度を持たない。可視領域の光線に対しても感度を持つように現在のフィルムは感光色素を用いて分光増感を行っている。
 分光増感されたフィルムでは光はまず感光色素に吸収される。色素の電子は励起状態に励起され、ハロゲン化銀の励起状態のエネルギーの方が色素の励起状態よりも低いエネルギーならハロゲン化銀へと電荷移動が起こり、その結果として上述したような潜像が形成される。現在では様々な増感色素により良好な特性を持つフィルムが作られているが、ハロゲン化銀と増感色素の相互作用の問題は難しく完全には解明されていない。

露光と画像濃度

 写真は何等かの画像をフィルムや印画紙上に目で見えるように固定する。被写体のコントラストと最終画像のコントラストの望ましい関係は写真の目的によって異なるため一概には定まらない。
 写真は光化学反応である。光があたらない領域では画像が形成されず、光の吸収量に応じて画像が形成される。ネガフィルムで光の吸収量と画像の光学濃度の間には図(未存在)に示すような関係がある。理想的には光の吸収量が0の場合にはフィルムの光学濃度も0であるべきであるが、実際には有限の値(最少濃度)となる。最少濃度はをベース濃度カブリ濃度の和となっている。
 光が吸収された部分では画像が形成される。潜像核の形成が複数の光子を必要とし、また現像も線形の現象ではないため、画像濃度は光強度に対して直線的には立ち上がらない。この曲線部分を足部と呼ぶ。露光量が増えると、露光量に対する画像濃度変化が直線になる。この領域を直線部と呼び、その傾きをγ(ガンマ)と言う。
 吸収光量がさらに大きくなると画像濃度は飽和して直線から下方にはずれてくる(肩部)。そして、さらに露光を増やすと画像濃度が低下する反転領域が出現することがある。この現象をソラリゼーション、領域をソラリゼーション部という。
 画像濃度は、(単位時間あたりの光量×露光時間)に比例する。これを相反則という。相反則は、通常の撮影条件ではほぼ成立している。しかし、非常に露光時間が短い場合や長い場合には相反則からのずれが生じる。これを相反則不軌という。被写体が暗く露光時間が数秒程度より長くなる場合には、相反則不軌によりフィルム感度が実効的に低下する。白黒フィルムでは露出時間を長くすればよいが、カラーフィルムの場合には感光層により相反則不軌の程度が異なるためにカラーバランスが崩れることがある。プロ用の長時間露光用と短時間露光用フィルムが別れている製品もある。
 

フィルムの種類

 フィルムには大きさや用途などに応じて様々な種類のものがある。その中で日常的に用いられているのは一握りにしかすぎない。とはいえ、その一握りのフィルムにも多くの種類がある。
 代表的なフィルムサイズは次のようなものがある。
規格名称 コメント
135 普通のカメラで用いるフィルム送り穴のついたフィルム。フィルムの幅が35mmであり35mm版ともいわれる。35mmカメラで日常的に用いるフィルムのこと。普通はパトローネに入った形で提供されているが、100feet巻の長尺フィルムもフィルムの種類によっては入手可能である。ライツ社が開発した小型カメラにスタンダード映画用フィルムを転用したのが現在の135サイズの起源である。ライカ版とも言う。JIS規格上は20枚・36枚取りがあるが、現在では12・24・36枚取りが普通である。10・16枚取りのフィルムもある。画面サイズは24×36mmであるが、横手方向を2分して24×18(17)mmとしたハーフサイズカメラも存在する。ハーフサイズはシネ版ということもある。かつては“ニホン判”などのサイズもあった。35mmフィルムを用いる現在の変形版としてパノラマサイズがある。
120・220 ブローニーフィルム。120フィルムはフィルムが黒色の遮光紙と一緒にスプールにまかれている。220フィルムではフィルムの両端にのみ黒色の遮光紙があり内部はフィルムのみである。220の方がフィルム長さは倍程度あり、120フィルムの倍のコマの撮影が可能である。120と220でフィルムの厚みが異なるので、それぞれのフィルムに対してフィルム圧板の調整が異なる。このフィルムを用いる画面サイズにはセミ判(6×4.5判)(56×41.5mm)、6×6判(56×56mm)、6×7判(56×69mm)、6×9判(名刺判、ブローニー判)(56×82.6mm)などがある。いわゆる中判カメラとなる。
127  ブローニー判より一回り小さなロールフィルム規格。通称ベスト判。ブローニーフィルムに比べて、このフィルムを使うカメラは小さく、チョッキのポケットに入るカメラということからベスト判と呼ばれるようになった。画面サイズにはベスト判(4×6.5cm判)(41.5×56mm)、ベスト半裁判、4×4判(41.3×41.3mm)などがあった。このフィルムを用いるカメラは中古市場には存在しているが、フィルムの調達は非常に困難である。たまに、銀座のカメラやに外国製の白黒フィルムが出まわっていることがあるという。フィルムのスプールさえ入手できれば、ブローニー120サイズのフィルムを切断して転用することが可能である。
126サイズ マガジンポンでお馴染みだったコダックインスタマチックシステムのフィルム。1964年に発表された。画面は28mm×28mmの正方形。フィルムの装着が不可能な人にとっては救いとなるシステムであったが、普通のフィルムに比べて割高であることと入手が都市部に限られていた(推測)こと、さらに、カメラが安っぽく日本人の好みに合わなかったことなどから、日本ではあまりシェアがなかったと思う。大きなカメラ屋に行くと今でもフィルムはネガカラーが1種類程度おいてある。このシステムに対抗してドイツのアグファ社が音頭をとって始めたラピッド・システムもあったが、こちらは短寿命だった。インスタマチックのフィルムも99年に中止のアナウンスがあり、現在は供給されていない。
110サイズ コダック社がインスタマチックに変わる新しいシステムとして1972年に提唱したフィルム規格。マガジンタイプでフィルムサイズを13×17mmと小さくしてマガジンも小型化している。コダックは、このシステムの発表にあたって、コダカラーIIという粒状性が改善されたフィルムを発表した。コダカラーIIは110のサイズで従来の35mmフルサイズに匹敵する粒状性と宣伝された記憶がある。個人的には110カメラよりもコダカラーIIの方がインパクトが強かった。2002年2月現在、富士フイルムのサイトにもコダックのサイトにも商品として掲載はされていないが、Webの通信販売でフジのフィルムを確認できる。。
ディスク コダック社が110の次世代システムとして1982年に提唱したフィルム規格。フィルムは円盤状のディスクの上に並んでおり、画面サイズは110よりも更に小さく8×10mmである。コダックの主張ではサービスサイズへの引伸ばしには十分な画質であるとのことだったが日本では、それほど普及しなかった。99年にフィルムも製造中止になり20世紀中に幕を閉じることになった。
APS キャノン、ニコン、ミノルタ、コダック、富士写真フィルムが共同開発した規格。1996年の発表。コダックに取ってはディスクの次世代のシステムというところか。デジタル写真の勃興を意識して画像に関する情報を磁気記録できるなどの新機軸が盛り込まれているが、今ひとつ中途半端な印象を拭えない。フィルムでパノラマやら高画質やらの取り分けが出来るのが一つの売りになっているが、実際には高画質タイプで撮影して、引伸し時に一部を選択しているだけである。フィルムの面積が最大16.7mm×30.2mmで35mmフルサイズの60%程度しかないことやフィルムの種類が限られていることからマニア層からの受けは今ひとつである。ただし、フィルムベースにポリエステルを用いているので、普通の35mmフィルムよりサイズ安定性がいいはずである。また、撮影途中で(カメラが対応していれば)フィルム交換が可能なので、APSシステムフィルムを用いる顕微鏡写真撮影装置などが開発されればかなり便 利かもしれない。と思っていたが、APSはデジタルカメラの急速な普及により苦戦している。メーカーによってはカメラから撤退する方向に動いている。顕微鏡写真も、もはや、APSよりはデジタル化の方向しかあり得ないだろう。(2002年3月現在)
ミノックス ミノックス社の超小型カメラ用のフィルム。画面サイズは8×11mm。ミノックス小型だが高性能のカメラシステムでマニアに人気が高い。国内ではキングからフィルムが販売されている。
16mm 16mm映画用のフィルムなどを転用する規格。画面サイズは12×17mmまたは10×14mm。日本ではミノルタやマミヤから販売されていたが、110カメラの販売にともない市場から姿を消した。
シートフィルム 乾板の流れをくむ1枚毎に切り分けられたフィルム。最近では複数枚がパックになっていて連続撮影が出来るようなものもある(らしい)。規格は4×5・5×7・8×10吋版などがある。基本的には写真館などのプロ用のものであり、多くの人にとって無縁の存在であろう

 フィルムサイズは上述のようなものだが、用途からは次のような感じに分けられる。
分類 コメント
白黒ネガフィルム 通常の白黒フィルムのこと。最近ではカラープロセスで現像する白黒フィルムもある。感度はISO50~3200程度まであり、さらに増感して感度を上げることもできる。
白黒スライドフィルム 普通の白黒フィルムでも反転現像をすればポジ画像が得られるが、ベースがグレーなのでスライドでコントラストが出なくなる。白黒スライドフィルムは透明なベースを用いたものである。昔は普通にあった製品で、その後需要の減少により長らく製品が途絶えていたが最近になってアグファ社より製品が出されている。アグファ社の製品以外にコダック社のテクニカルパンも白黒スライドに適するという記事を見たことがあるので、このフィルムでもよいかもしれない。。
コピーフィルム 硬調の文献等の複写用フィルム。感度は低いが粒状性がよく、文献などを複写するのに用いる。また、実験室でフォトレジスト用のマスクを安直に作るときにも使える。コピーフィルムと超軟調現像液を組合わせると非常に微粒子のネガを得ることができる。
赤外線フィルム 分光増感色素として赤外領域に吸収のあるものを使ったフィルム。コニカとコダックから出ている。ハロゲン化銀は400nm台に吸収を持ち、分光増感色素とは無関係に感度を持つので、赤外線フィルムをそのまま用いると400nmの光にも感光してしまう。そこで、赤色のシャープカットフィルターを用いて赤外のみの光で撮影するようにする。
色素の励起エネルギーが低いので通常のフィルムより熱に弱いはずである。冷蔵庫や冷凍庫で保管すべきであろう。
カラーネガフィルム そこら中にあふれているフィルム。感度は50~3200まであるが、最近はマルチ感度といい、現像時に感度を指定するものもある。種類が多いので選択に頭を悩ますものである。
カラーポジフィルム カラースライド用のフィルム。感度は25~1600程度であるが、さらに増感も可能である。ネガフィルムに比べて粒状性や色再現がよいので、プロや印刷原稿にはポジフィルムが用いられている。光源の色温度によって昼光用とタングステン光用がある。ポジフィルムには印刷原稿に適したブルーマスクの品と、スライド上映に適したクリアーベースのものがある。
カラー赤外線フィルム コダック社から販売されている。本来は軍事・天文等の用途であるが、見た目と異なった色調の画像となるので“芸術写真”に用いる人もいるらしい。
リスフィルム 写真製版用の硬調のフィルム。コピーフィルムより硬いはずなので、フォトレジストのマスクに転用できると思うが試したことがない。
X線フィルム 通常のフィルムに比較して感光層が厚くハロゲン化銀がいっぱい含まれている。フィルムベースの両側に感光層が塗布されている。
高解像度乾板 レーザーホログラフィーの実験などに用いていた。
青焼きフィルム 学会発表の時の青焼きスライド用のフィルム。現在でもコニカからカラーフォイルという名称で販売されていた。(残念ながら、20世紀中に製造中止になった。国内での代替品の入手に関しては確認していない。)ジアゾの発色現像を利用している。紫外領域に感度を持つので感光には紫外光源が必要である。
カルバーフィルム 日本ではキャノンから販売されていた白黒スライド用のシステム。ジアゾを紫外線により分解してフィルム中に窒素分子を作り、フィルムを適当な温度で加熱して窒素を細かい泡にして、泡の部分が散乱により不透明になることを利用した方式。スライド作成には35mmネガをカルバーフィルムと重ねて専用の露光器で露光した後に専用の現像器(フィルムを加熱するもの)を通してドライプロセスでスライドを作った。現在は供給されていないと思う。

白黒写真と暗室技術

白黒フィルムの現像と引き伸ばし

 フィルムといえば白黒だった。カラーフィルムは高価であったし、現像も町の写真屋さんでは不可能であった。ハーフサイズカメラを主戦力とする子どもにとって、カラーフィルムなんていうものを使うのは、非常に特別な時だけであった。家の近所の写真やさんは昼間は勤めているご主人が帰ってきてから、その日に受け取ったフィルムを現像して引き延ばしをしていた。引き延ばされた印画(ほとんどがサービスサイズだった。)がフェロのローラーを通って光沢の表面ででてくるのを眺めるのは楽しいものだった。やがて、カラー写真が中心になって近所の写真屋さんは廃業した。
 その後、カメラが35mmフルサイズになった後も、写真といえば白黒だった。100フィート巻きフィルムを買ってくれば高値の花のトライXにも何とか手が届く。コダック純正のD76なんて買うお金はないので、処方集を元に薬を混ぜたり、あるいは富士のミクロファインを使って現像していた。そのころよく行ったカメラ屋が池袋の日ノ出町(現東池袋4丁目)方向にあったキクヤさん。キクヤは大塚3丁目の交差点にも町のカメラやサイズの支店を持っていた。ヨドバシカメラはまだ新興勢力で、ビックカメラは池袋の東口側には陰もなく、キクヤとサクラヤが由緒正しい(?)大型カメラやという気分があった。キクヤはペンシルビルで、1階がフィルムとDPE、2階がカメラ、3階が写真用品、4階がプロ用機材で、自称チャールスブロンソン似の社長が座っていた。今でも実家に転がっているアサヒダーストの6×7判の引伸器はキクヤから雨の中を兄と担いで帰った品だ。キクヤは社長の病気を境に傾いてしまい、池袋の店のあった場所には別の店がたっている。

 閑話休題。白黒フィルムの現像の話をしなければいけないのだった。白黒写真の処理はふつうのロールフィルム(35mm判もしくはブローニー判)の現像までなら、暗室の必要はなく流しが1つあれば可能だ。だから、カメラ少年だけでなく、鉄道少年や航空少年などにとっても馴染み深い芸であった。各学年1人とまでは言わないけれど研究室に一人くらいは自分で現像をやっていた人間が紛れ込んでいた気がする。

種々の現像処理

 フィルム現像は現像・停止・定着・水洗・乾燥の5行程で終了する。最初の3行程には専用の薬品が必要である。現像作業に先立って薬品の準備をしておかなければならない。カラー処理はメーカー指定の処理をすることが普通であり現像時の自由度は少ない。一方、白黒フィルムに関しては種々の処方が発表されており、それぞれに粒状性や感度や調子が異なるので現像時の自由度が高い。遊べるのである。特に、現像液は種類が多く、また同じ現像液でも濃度を変えるなどのバリエーションがあり、多くのローカル処方が存在していた。以下に個人的に少しいじったことのある写真薬品と処方を並べておく。当時は写真工業社などから処方集が販売されていたのだが、最近は絶版になってしまっている。

写真単薬

市販の混合された薬品ではなく、処方集に従って処理液を作るときに用いる試薬を写真単薬と呼んでいた。メーカーは富士写真フイルムと中外が主であった。メーカーによって、薬品の名称が異なることがある。

メトール
現像主薬の一つである。現像液としてメトールのみを用いると、微粒子現像剤となる。また、ハイドロキノンと混ぜた処方はMQ系現像液と呼ばれ、安定した性能を示す。
ハイドロキノン
現像補助剤。単体で現像剤として用いると、ネガが硬調になりすぎてしまう。一般にはメトールと併せてMQ系現像剤として、あるいはフェニドンと併せてPQ系現像剤として用いる。
フェニドン
現像主薬。ただし、単体では現像力は弱くハイドロキノンと併せてPQ系現像剤として用いる。増感性能が高いのと、液がMQ系に比較して疲労しにくいのとで、近年はよく用いられている。自家調合をする時には、フェニドンの量が多くの処方では使用量が少なくて、精密な天秤を必要とするために(そしてフェニドン自体もメトールより高価であったため)あまり用いなかった。フェニドン単体を用いた長軟調現像液でミニコピーを現像すると非常に微粒子のネガができあがるので、35mm判の限界に挑むつもりの時には適している。
炭酸ナトリウム
現像液は普通はアルカリ性で、現像液のphを調整するためのアルカリ剤である。試薬メーカーによって水分の含有量がことなる(通常は1水塩で販売していた)ので、秤量にあたっては、注意が必要である。炭酸ナトリウムは中和時に炭酸ガスを発生し、それが時には停止・定着不良の原因となるので、中和時にはきちんと攪拌する必要がある。
酢酸
停止液の主成分である。お酢の酸味の主成分である。それにもかかわらず「すさん」ではなく「さくさん」と読む。そういえば、中学の理科のテストで酢酸カーミン(染色剤)を「すさんカーミン」と書いて×をもらった悪い記憶がよみがえってきた...
チオ硫酸ナトリウム
いわゆるハイポ。定着液の主成分である。ハロゲン化銀を溶解する作用がある。
チオ硫酸アンモニウム
迅速定着剤の主成分である。
処方集

標準現像液は特に特殊な処理をせずに標準的なネガに仕上がればよいときに用いる。もちろん、標準現像液として用いられるには、それだけでは不十分で、安定性や現像能力や応用性なども重要である。

D76
コダック社の標準処方。初期は映画の白黒フィルム用の現像液であった(らしい。)。

微粒子現像剤はその名前の通りに、ネガを微粒子に仕上げたい時に用いる。一般に軟調に仕上がり、また感度もフィルムの指定値か、それ以下となる。白黒フィルムの粒状性は現像の他に定着やその後の水洗過程にも依存するので、微粒子に仕上げたいときには全体に目を光らせる必要がある。

反転現像液はスライドで用いるようなポジフィルムを作るときに用いる。反転現像は本質的に4つのプロセスが必要である。まず、フィルムを通常と同じように現像する(第1現像)。ここではネガの画像が出来る。続いて、できあがったネガ画像(銀粒子)を溶かしさってしまう(漂白)。ただし、この時に、未感光のハロゲン化銀はフィルムに残しておく。続いて、フィルムに残っているハロゲン化銀に光をあて(もしくは化学処理により)感光させる。そして、さらに現像する(第2現像)。この後は(原理的に未感光のハロゲン化銀は残っていなそうだけれど)通常と同じように停止と定着をして水洗する。
白黒でスライドを作るにはベースが透明なフィルムが望ましい。ハレーション防止のためにベースに着色があるとスライド投影の時にくらくなってしまうからだ。かつては、白黒スライド用フィルムが日本のメーカーからも販売されていたが、現在ではアグファ(独)のみから販売されている。なお、コダックのテクニカルパンはベースが透明らしい(自分で使ったことがなく分からないが)のでスライドに使用できると思う。
反転現像の用途として、ミニコピーの反転現像があげられる。液晶のITOのパターン付けを自分たちでやっていた頃には、ポジタイプのフォトレジスト用には通常と白黒反転したマスクを作る必要があり反転現像をやっていた。そのほか、学会発表用のスライドを通常と逆の色合いで作るときにも反転現像は有効な芸であった。(もやは、反転現像どころか学会発表用のスライドを作ることさえなくなってしまった。)

コピーフィルム用現像液は硬調の仕上がりを与える現像液である。通常の現像液は仕上がりの好みがあるので、自家調合を行うこともあるが、コピーフィルムでは仕上がりの調子に幅がないので、市販の薬剤を使うことがほとんどであろう。

超軟調現像液を使うと非常に軟調のネガが出きる。被写体の輝度分布が著しい時に、1枚の写真の中にすべてを写し込みたい時には有用であろう。ただし、ネガの中にいくら情報が入っていても、印画紙に焼き付ける時に、あるいはデジタル化する時に再現できるのは、その一部でしかない。超軟調現像液をミニコピーのように、本質的に超硬調なフィルムに適用すると、程々のコントラストのネガができあがる。フィルムの感度はISOの一桁台にする必要があるのだけれど、そうして得られたネガは先鋭度が高くまた粒状性も非常によい。白黒で35mmフィルムからかなりの倍率で引き伸ばしをしなければならず、しかも粒状性も重要な場合には試みる価値がある。ただ、個人的経験では現像むらができやすく、攪拌に技術が必要である。

1浴現像定着液は、文字通り現像と定着を同時にこなす薬液で、この液での処理後の水洗のみで現像・定着作業が全部終了する。通常は、めったに使うことがない。個人的な間隔では、時に面白がって自家調合して遊んでみる程度のものである。

市販の処理薬

自分で単薬を混ぜる気力がない場合には(それが普通だとは思う。)、市販の薬品の中から自分の好みにあったものを見つけだす。市販の薬品には粉末の他に液体になっていて希釈すればよいものもある。希釈タイプは必要量を必要時に容易に準備できるので、コスト的な問題がなく使用して気に入れば常用とする価値がある。

T-MAX現像液
コダック社がT-MAXシリーズの白黒フィルムとともに売り出した液体現像液。なんと言っても、濃縮液で売られているので、薬液の準備が楽なのがよい。コダックでは、それ以前に濃縮タイプの現像剤を販売はしていたけれど、私が学生だったためもあり、使うことはなかった。T-MAXは社会人になって現像液を調合する気力もなくなった頃に出てきたので、一頃はずいぶんと世話になった。何しろ、当時は現像する時間があまりとれないので、写真をとった後で、フィルムを冷凍庫に放り込んでおき、半年に1度くらいまとめて現像していた。
ダークレス
富士フイルムの写真処方キットでアンプルに入った処理剤を用いる。処理用の現像タンクにパトローネをそのまま入れて、液を入れてパトローネの軸を回して攪拌する。24枚撮影フィルムまでしか使用できないが明室で非常にコンパクトなセットのみで短時間で現像ができるので写真のチェック(何しろ、大学にはあまりポラロイドがない。)には便利である。

密着焼と引伸
後処理
特殊写真処方
青焼きスライド
かつて、学会発表はスライドが主であった。もちろん、カラースライドなんてものを使うわけはなく、ロットリングで線引きした図をミニコピーで複写して、それを青焼きスライドにしていた。青焼きスライドはジアゾを用いた露光・着色プロセスを用いたもので、カラーフォイル(小西六・今でも売っている(というのも昔話になってしまった… 製造中止になってしまったそうだ。))を原版(ミニコピー)に密着させて紫外線で露光して、アンモニア蒸気にさらして現像していた。カラーフォイルは未露光状態で全体が薄い黄色。露光をかけると露光した部分が脱色する(といっても、元の黄色は薄いのであまり変化はない。)それをアンモニア蒸気にさらすと、未露光部分は深い青になり、露光部分は透明に残るので、なかなかにきれいな色のスライドが出来上がった。ジアゾの発色を用いたものに、青焼きコピーがあった。これは、半透明でしっかりした用紙にを原図(第二原図)として、ジアゾのしみこませた紙に露光して湿式現像するシステムだった。電子写真がここまで普及する前のコピー手段としてよく用いられていた(大学でのゼミの資料・卒業論文・修士論文等は青焼きコピーが普通だった。理由は電子写真に比べて価格が安いことである。)。こちらも、電子写真の普及により多くの場所から姿を消した。

カラー写真

色再現

ネガとポジ

色温度とフィルター
現像所への指示

接写及び実験器材の撮影

器材

カメラ

 最近ではオートフォーカスのコンパクトカメラでも35cmまでのクローズアップ撮影が可能だったりするが、きちんとした接写をしようと思ったら一眼レフカメラが必要である。一眼レフであれが、メーカーにこだわる必要はないし、マニュアル露出だろうと、自動露出だろうとマニュアルフォーカスだろうとオートフォーカスだろうと何でもいい。とはいえ、複写の場合などカメラが下向きになっているので、横方向からピントが合わせられるようにウエストレベルファインダーが装着できたり、アングルファインダーがアクセサリーにあるようなシステムを選んでおいた方がよい。
かつては、国産メーカーでもアサヒペンタックス、オリンパス、キャノン、コニカ、トプコン、ニコン、フジフィルム、ペトリ、マミヤ、ミランダ、ミノルタ、ヤシカなどが35mm一眼レフを販売していた。しかし、現在では一眼レフでレンズ交換可能なオートフォーカスカメラをシステムとして発売しているのはアサヒペンタックス、キャノン、ニコン、ミノルタの4社に、マニュアルフォーカスシステムがそこそこは充実しているのは、オリンパス、京セラ、ニコン程度となってしまった。
最近の一眼レフカメラは、科学技術写真なども視野にいれた「システムカメラ」であることをやめてしまっている。接写や複写などを中心に使うつもりなら、世代の古いマニュアルフォーカスカメラを中古ででも入手する方がよいかもしれない。拡大撮影用の特殊レンズも現在では生産されていないものが多く、中古市場を探すしかなくなっている。
21世紀に入って1年ほどたったところで、マニュアルフォーカスのシステムカメラは壊滅状態になった。NikonF3、アサヒペンタックスLX、オリンパスOM3,4とも製造中止になっており、特殊な撮影用品もカタログからは消えている。これらの品は中古に出てくることも少なく、入手は楽ではないであろう。
しかし、その一方ではCCDサイズが35mmフィルムに近いデジタル一眼レフが出始めており、それらを銀塩カメラの替わりに活用することは可能である。デジタルカメラではコンピュータに接続して画面の確認などができるので、光学式ファインダーの重要性はかつてよりは下がっている。デジタルカメラについては、項を分けて記すことにし、ここでは銀塩カメラを意識して話を進める。

レンズ

 標準の接写用のマクロ(マイクロ)レンズは最低限そろえておきたい。焦点距離が50mm~65mm程度で明るさは2.8~3.5程度である。常用レンズとしては少しばかり暗いが、もし一眼レフカメラの標準レンズを1本購入するなら、明るさが1.4~2.0クラスの本当の標準レンズよりマクロレンズの方がよい。カメラメーカーの純正品でなくてもレンズメーカーからも良いレンズが出されているので、それらを選んでもよい。

 50mmのマクロレンズがあれば∞遠から1/2倍程度までは楽に撮影できる。1/2倍から等倍までの撮影にはニコンなどでは接写リングをつけて用いる。オリンパスでは50mmマクロで1/2以上の撮影は推奨されておらず、別のレンズが用意されている。最近では接写リングなどの付属品なしに等倍までヘリコイドを回すだけで撮影できるレンズも販売されている。
 標準以外のマクロレンズは望遠系と短焦点系に分かれ用途が異なっている。望遠系のマクロレンズはカメラと被写体との距離が離せるのが魅力で屋外の小動物の撮影に威力を発揮する(例えば、焦点距離が500mm級の望遠レンズを用いれば2m離れた10cm程度の領域を画面全体に移しこむ(倍率1/3程度)ことができる。また、程度の屋内の撮影でもレンズ前面と試料の距離が離れているので照明が楽になる。
 短焦点系のレンズは等倍以上の拡大撮影用である。レンズの被写体側焦点から被写体までの距離x1とフィルム側焦点位置からフィルム面までの距離x2とレンズの焦点距離fとの間には
x1x2=f2(ニュートンの公式) 
という関係があり、この時の物体の撮影倍率Mは
M=x2/f
という関係がある。撮影倍率が高いときに、ニュートンの公式よりレンズの焦点距離fが小さければレンズのフィルム側焦点位置からフィルム面までの距離x2が小さくてすむ。一眼レフに付属する接写リングやベローズユニットを組合わせて、レンズからフィルム面までの距離は普通は200mm程度が限界なので、焦点距離が50mm程度のレンズでは上2式より撮影倍率が4倍程度が限界であるが、20mmのレンズなら10倍程度。そして10mm程度のレンズなら20倍の拡大撮影も可能となる。
 最近ではマクロ撮影が可能なズームレンズもあるが、きちんとした単焦点のマクロレンズのほうが描画かしっかりしている。

複写台

なければ、三脚でも代用できる。また、引伸機を持っているなら、引伸機のヘッドをはずして、そこにカメラを取付けてもよい。複写台の安定性は気分的には重量に比例するので、なるべく重いものを選ぶ。35mmカメラの画面サイズは横が広いので台は横が広いものの方がよい。台の上で最低A4できればA3程度の複写が可能なものが望ましい。カメラを支える支柱はなるべく太いものがよい。支柱の断面が長方形のものはカメラの位置の方が細長く、曲弾性が強くなる方がよいと思う。使い勝手や仕上げの良さはなるべくなら実物を見てチェックしたいが、大型カメラ店でも総ての品をそろえているわけではないので、メーカーを信じて買わなければならないかもしれない。オリンパスの複写台を使っているが気に入っている。引き伸し機は物によっては引き伸し機のヘッドを外して替わりにカメラを取り付ければ複写台として利用できる。研究室では昔は藤本写真工業の引き伸し機を複写台にもつかっていた。
本式の複写台でなくても4本足の簡易複写台もある。ちょっとした作業の時に便利かもしれない。

写真:通常のコピースタンド(左)とコピースタンドの上のミニコピースタンド(右)。コピースタンドはある程度の重さがある方がしっかりしている。支柱の剛性が高くないと撮影時にカメラぶれのもととなる。粗動がスムーズで微動もあるものが使い勝手がよい。普段使わない場合には収納がどうなっているかも気を付けること。ミニコピースタンドは出先でカメラと紙面の平行を保つのに便利であろう。ただし、剛性は高くはない。また、高さも不連続にしか変わらないので、後でトリミング等が必要になるだろう。


照明

白黒画像の複写なら蛍光燈スタンドを2つ借りてくれば照明として十分である。カラーの場合には蛍光燈では色再現に問題が生じるので、素性の分かったランプを用いる。普通のカラーフィルムには青色の写真電球を用いるように指定されているが、普通の写真電球に比べると寿命が短いので、普通の写真電球とタングステン用のフィルムを用いるか、色温度補正フィルターを使う方がよいかもしれない。ネガカラーの場合には、色再現はそれほど良くないので、普通の写真用の電球をそのまま用いてしまってもよい。(蛍光灯でも十分だ)
照明はなるべく均一にするために最低でも2灯用いる。複写台によっては専用の照明器具があるので、それを用いるのが無難かもしれない。被写体が立体物で光沢表面の場合には電灯で直接照明すると一部が光ってしまい見苦し写真となることがる。トレーシングペーパーを途中にいれて散光照明にするなどの工夫が必要になる。このあたりの照明テクニックにプロとアマチュアの違いが出る。
出先や屋外などで写真電球による照明が困難な場合にはストロボの使用を考慮する。ストロボを使うと露光時間が短いのでぶれにくくなるというメリットがある。オートストロボを使うときは必ずカメラと組合わせてTTL測光が出来るものにする。TTL測光のストロボで被写体が大きい場合には露出はまあまま何とかなるが、屋外の花のクローズアップのように背景に何もない場合にはTTL平均測光や中央部重点測光では周囲に引きずられて被写体は露光オーバーとなってしまう。このような場合には、露出補正を行うか、被写体のすぐ背後に適当な反射率の板を置いて背景とするなどの工夫が必要となる。また、ストロボの場合には光沢のある表面がどのように光るかの確認は困難である。オリンパスの接写用ストロボには焦点調節時のためにミニチュアランプが内蔵内されているが、これを用いれば被写体がどのように見えるであろうかがチェックできる。
等倍程度以上の接写では、レンズと被写体の距離が短くなり照明が困難になる。ストロボも通常のアクセサリーシューにつけるものでは光が均一に届かなくなるので、リングライトなどのレンズ前面につけるものを用いるようにする。こうなると、レンズの方がそれに対応した設計になっているかが重要になる。オリンパスのズイコーオート38mmと20mmは、そのあたりがちゃんと考えられた設計になっている。
ストロボ以外の照明に、垂直落射照明装置やリーベルキューン鏡が用意されているシステムもある。

露出計

現在のカメラにはふつうは露出計が備わっている。最近のカメラにはコンピュータも組み込まれ、かなり複雑な情報処理をやって露出決定を行っている。しかし、そうした機能は白黒線画の複写にはまず役立たない。カメラの露出計は、あくまでも一般的な撮影対象を基準に調整されているのであり、複写(まあ、写真の複写だったらいいのだけれど、線画の複写にはまずだめだ。)で露出があうとは思いにくい。従って、カメラ内蔵の露出計ではなく、単独露出計を用意した方がよい。また、照明むらのチェックにも単独の露出計が必要になる。
露出計には入射式と反射式がある。入射式露出計は被写体に当たっている光を測定して露出を決定する。一方反射式では被写体からカメラの方に反射されてくる光を測定して露出を決定する。(顕微鏡撮影の場合には透過してくる光を検出するのだけれど、これは機構的に反射式露出計に分類できる。)


その他


接写の実際(平面を対象に)

カメラの据え付け

 平面的なものを複写する場合には、複写する面に対してフィルム面が平行になるようにカメラを設置する必要がある。複写台を使えば三脚を用いるのに比べて容易に平行は出せるが、何れにせよ調整は必要である。世間でどうやって調整をしているのか知らないけれど、私は直径10cm程度の鏡を用意して安直に平行だしを行っている。やり方は

  1. 複写するものをのせる台の上に鏡をのせる
  2. ファインダースクリーンの中心と鏡に映ったレンズの中心が重なるようにする。

だけである。これで、鏡とフィルム面の平行は確保できる。鏡に映ったレンズの中心とファインダースクリーンの中心を合わせるのには、中央に丸い輪が描かれているファインダースクリーンを用いて、レンズの径とファインダースクリーンの円の径がほぼ一致するような倍率で作業を行うと楽である。※微動を押さえるネジをしめると平行性が変化することがあるので注意。冗談的例外はシフトレンズ

照明の調整  

 カメラのセットアップが終わったら、撮影領域が均等に照明されているかをチェックする。そのためには入射式露出計があると便利である。照射光強度のチェックは画面の中心と四隅の計五箇所で行う。この五箇所で露出が1/3EV程度に入っていればよい。だめな場合はライトを移動して均一化をはかる。


図:露出のチェック。真中(左)の他、撮影する範囲の四隅(右は左上、あと残り3箇所)の測定を行う。


 入射式露出計がない場合は、適当な板をおいて、その明るさを反射式露出計で測定する。この場合に測定している領域が思い通りか、測定装置によって照明光が遮られていないかなどに気を付ける必要がある。

露出の決定

 入射式露出計を用いる場合には、露出計の指示をそのまま使う。入射式露出計がない場合にはカメラに内蔵の露出計を用いる。この時には、標準反射板を用いて露出を決定する。標準反射板がない場合には白いケント紙を用意し、それを用いて露出の計測を行った後に露出を2段ほど多くする。あとは、露出を固定して撮影を行う。適当なグラフィックソフトとレーザープリンターを用いて標準反射板の替わりになるものを作ることができる。ただし、普通の紙では白さに差があること、また黒の反射率が必ずしも低くはない可能性があるので、テスト撮影をしておいた方がよいかもしれない。

ピント合わせ

 ピント合わせは絞りを開放にして行う(通常の自動絞りレンズでは当然、開放になっている。引き伸しレンズなどを用いる場合には手動で絞りを開放にしなければならない)。ピントをより正確に合わせるためには、高倍率のファインダーやマグニファイヤーなどを用いる。ピント合わせ後に、絞りを絞り込ると被写体深度が深くなる。

撮影時のショックの低減

 撮影時のショックを少なくするために、カメラがミラーアップできる場合にはピント合わせ後にミラーアップをする。撮影倍率が変わらなければ、ピントを再度合わせる必要はなく連続して撮影を行える。撮影時にはレリーズもしくはリモートコントローラを用いて撮影を行う。直接シャッターボタンを押すとブレる危険性が高くなる。最近の電子制御カメラではレリーズ後にミラーアップしてからワンタイミングおいてシャッターが切れるようなモードがあるものもある。複写時などには、このモードをセットするようにする。
 シャッタースピードは早いほうがブレが少ないと思われがちであるが、ブレの量は1/30~1/125秒で最大になるとの研究結果もある。シャッタースピードがこの領域にはいるなら、絞りを調整してどちらかに外す方がよいかもしれない。


実験器材等の撮影

照明

 立体物の撮影にあたっては、照明が一番重要である。それさえ出来れば、プロのような写真が撮れる。私には、残念ながらそこまでの芸はない…。最近は、小さなCCDのデジタルカメラにより通常の照明下で器材の撮影が可能になり、かつてよりは照明の重要性が低くはなっている。


顕微鏡写真

顕微鏡撮影装置 

 顕微鏡写真を撮る場合には、顕微撮影装置を用いるか、市販の35mmカメラを適当なアタッチメントで取り付けて撮影を行なう。フィルムサイズは35mm版が一般であるが、ブローニーサイズや、4×5吋サイズ、ポラロイドフィルム用のアタッチメントもある。ポラロイドはデジタルカメラの登場でかつてほどの必要性はなくなったが、露出のチェックなどの目的も含めてあると便利なものである。もっとも、35mmカメラサイズに近いCCDを有するレンズ交換可能なデジタルカメラが出現するようになり顕微鏡写真は大きく変わりつつある。

 今日の顕微撮影装置は、システム化されていて多くの用途に対しては、ピント合わせだけをして、何も考えずにシャッターをおせば、自動調整された露出が行なわれ失敗のない写真が撮影できる。しかし、液晶の顕微鏡写真撮影では、消光状態の撮影のように全面がほぼ暗黒状態とか、コノスコープ像のように暗黒の中心に明暗の丸いパターンがあるなど、通常は想定されていないような撮影条件が起こる。このため自動露出だと対応できない場合があるので、手動もしくは露出ロック機構のある撮影装置を選択すべきである。非常に簡単な、手動の露出計と組合わせて使う商品も現役であり、特殊な事を行なう場合には魅力ある選択肢となる。

 通常の35mmカメラアタッチメントを用いればニコンやオリンパスの一眼レフカメラを顕微鏡と組合わせることができる。ただし、一眼レフカメラは撮影時にミラーとシャッターの動きに伴うショックがあるのでブレが生じやすい。旧型のカメラよりは縦走りフォーカルプレーンシャッターで幕速の速いものの方がショックが少ない。また、ミラーアップによりショックは軽減されるので、ミラーアップ機構の有無はカメラ選択の一つの基準となる。

 顕微鏡写真撮影の本を読むと、比較的硬調の微粒子(白黒)フィルムを用いていることが多い。これは、生物系の被写体は一般的にコントラストが低いためで、偏光顕微鏡下の液晶のようにコントラストの高い物体の撮影には高コントラストのフィルムを選ぶ必要は一般にはない。

 フィルムは、かつては白黒フィルムを用いて自家現像するのが主流だったが現在はカラー撮影が普通である。カラー用のフィルムには(白黒用のフィルムにも)上述したようにネガタイプとポジタイプがある。趣味と目的により、どちらかのフィルムを選択すればよい。

 もし、あなたの目的が取り敢えず使える写真を手に入れることで、写真術などに深入りするつもりがないのなら、ネガカラーフィルムを使うべきである。最近の露光許容度の広いネガカラーと自動露出装置を使えば、よほどのことがなければ使える写真が手に入る。唯一、消光位での撮影の時の露出補正さえ忘れなければよい。
 一方、写真術にも興味があり、時には定量的な比較をするための写真を撮影したいならスライドフィルムを用いるべきである。これまで、スライドフィルムは撮影後のプリントコストに何があったが、最近では現像と同時に長尺でのプリント(99年3月で富士のみ)やらスキャナーによるデジタル化が可能なので、かつてよりは楽になった。デジタル化を考えるとネガカラーでも露出通りのプリントを自分でできるようにはなったのだけれども、やはり目で直接に露出状態をチェックできるのはポジカラーの強みである。意識して撮影して写真が(少なくとも露出が)うまくなるためにはポジカラーの方が良い。

 ネガカラーで露出などの調子を見たいときには、かつては、ベタ焼を頼めば良かった。しかし、最近のベタ焼には、APS のインデックスプリントのように補正された印画になっているものもあり、まったく役たたずだったりする。ラッシュ(ポジフィルム画像起し)を頼めば、ネガの状態を一番素直に見られるが、そのような必要があるときは、最初からポジカラーフィルムを用いた方がよい。

 ポジカラーフィルムは撮影時の色温度があっていないと青みがかったり、赤みがかったりしてしまう。最近の顕微鏡では写真撮影用の電圧指定と、専用の色温度変換フィルターが用意されているので、それに従うようにする。露出が足りないとか、明るすぎるといった理由でランプの電圧を調整してはいけない。写真用の電圧が分からない場合には、テスト撮影の必要が生じる。単純にはランプの点灯電圧をかえて撮影して、フィルムの色調をスペクトルから調べてニュートラルに仕上がった電圧(とフィルターの組み合わせ)が求めるべき条件である。厳密なことを言い出せば、フィルムにより色温度特性が微妙に異なるので、乳剤番号毎にチェックが必要だが、そこまで厳密にやる必要は通常はない。

 ハロゲンランプを光源とする顕微鏡でも、色温度変換フィルターを用いれば昼光色用フィルムを使うことができる。しかし、フィルターを用いると光のロスが大きく、フィルム感度にして2~3倍程度は影響するので、なるべくならフィルターを使わずにすむようなフィルムを用意すべきである。

 日常的なシャッター速度の範囲では、フィルムの感度は全露光量が一定なら露出時間には依存しない。すなわち、「露出時間×単位時間当りの光強度」が等しいなら、フィルム面の画像濃度も等しい。これを相反則という。ところが、露光時間が極端に短かったり、長かったりする場合には相反則からのずれが生じる。これを相反則不軌という。顕微鏡写真で問題となるのは露光時間が長くなる場合で、フィルムの実効感度が低下する。数秒以上の露出となる場合には相反則不軌を考慮しないと露出不足となることがある。相反則不軌の程度はフィルムにより異なる。データシートで調べるか、同じ乳剤番号のフィルムで実際に確かめる必要がある。

撮影倍率

 写真撮影の倍率は、対物レンズ倍率×撮影用接眼レンズ倍率である。例えば、ニコンの双眼顕微鏡で35mmフィルム撮影装置と40倍の対物と2.5 倍の写真用撮影用レンズを組合わせれば、実物の 100倍の画像がフィルム面に記録される。この画像はさらに引伸ばされて印画となるので、最終的な倍率は引伸ばし倍率にも依存する。一連の顕微鏡写真の1枚として対物ミクロメータ(1mmを100等分した目盛りの入った板)を写しておくと、後で実際の倍率を容易に求められる。
 同じ対物レンズを用いた場合に、撮影用接眼レンズの倍率を高くして全体の倍率を高くすると、撮影領域が狭くなる上に、像面での明るさは倍率の2乗に比例して暗くなる。例えば、ニコンの20倍の長作動距離レンズと 2.5倍の撮影用接眼レンズを組合わせて写真撮影を行なうことを考えると、このレンズの分解能は1μm程度なので、分解能限界に近い物体はフィルム面では 50μm程度の大きさになる。フィルムの分解能はmmあたり数十本あるので、50μmの構造は記録可能である。一方、5倍の撮影用接眼レンズを用いると、フィルム面での物体の大きさは100μm程度になるが、明るさは1/4となるので、同じシャッター速度で撮影を行なうには、感度が4倍のフィルムを用いなければならない。高感度のフィルムは粒状性がより悪くなっていて大きな引伸ばし倍率には不向きになっていく。最終的な倍率を考えると、 5倍のレンズと高感度フィルムを用いるより 2.5倍のレンズと通常感度のフィルムを組合わせた方が広い領域を一度に撮影できる分だけ有利である。
 更に低倍率の撮影用接眼レンズを用いれば、より広範囲の撮影が可能となるはずである。しかし、市販の撮影用接眼レンズにさらに低倍率のものはない。これは、顕微鏡の視野数は20程度であり、対物レンズは結像位置において20mmφ円の内部の像が良好になるようにしか補正されていないためである。その外側の領域では画質が低下する。35mmカメラのフィルムサイズは24×36mmで対角線の長さは43.3mmある。視野数20で設計された対物レンズの像は2.16倍しないと、35mmカメラのフィルム面を覆えない。ニコンの撮影用接眼レンズの最小倍率が 2.5倍であるのはこのような理由があると考 えられる。
 フィルム面の面積が小さい場合には、より小さな倍率の撮影用接眼レンズを使用しても対物レンズの視野数の範囲に収まる。例えば 1/2インチの固体撮像素子(CCD)は 受光面の大きさが 4.8×6.4mmで対角線が 8mmなので、視野数20のシステムを用いる場合には0.4 倍の撮影用接眼レンズまで使 用可能である。CCD カメラ受光面が狭いので普通の撮影溶接眼レンズと組合わせると観察領域が極めて狭くなってしまう。1/2 インチのCCDを20倍の対物レンズと 2.5倍 の撮影用接眼レンズとの組合わせで用いると、対角線で0.16mmの領域しか観察できない。この状態で、目視では視野数20の接眼レンズを用いれば直径 1mmの円内が観察できるので、目で見える領域のほんの一部しか観察できない。

露出調整

 液晶の顕微鏡撮影では標準的な露出条件からはずれる場合が出現する。その場合に単純な自動露出に頼っていると失敗写真となってしまう。例えば、一様に配向した液晶をクロスニコル下でステージを回転させて写真を撮影することを想像してみよう。目視では、液晶のダイレクターが偏光子と平行な場合には視野は暗く、ステージを回転すると視野は明るくなっていく。そして、45度回転した状態で最も明るくなり、その後90度まで回すと再び最初と同じ様に暗くなる。自動露出の撮影装置で、この様子を撮影すると、ダイレクターが偏光子と平行な場合には、露出時間が長くなり、そして45度の時には露出時間が短くなり、フィルム面での画像の濃度は常に一定になる。そこから得られた印画の濃度も当然のように同じレベルになってしまう。目視と同じ様に濃淡のある画像を得るのには工夫が必要である。

 撮影装置が手動露出調整が可能であるか、自動露出のロック機構がある場合には話は簡単である。異なるセル間の明るさを比較するためにはセルが入っていない時の最も明るい状態の18%の明るさを基準として露出を決定し、そのまま露光条件で撮影を行なえばよい。18%の明るさを作るには試料を入れない状態で検光子をクロスニコルから25度傾けるか、パラニコルにして、OD=0.7程度のNDフィルターを入れてやる。NDフィルターを用いる方法は、偏光顕微鏡でなくても適用できる。

 ただし、試料の複屈折が小さくて試料を回転してもあまり明るくならない場合には、平行ニコルの状態を100%として露出を調整すると試料を回転しても、全体に暗い状態で推移するのみで写真として区別がつきにくくなる。そのような場合には試料を入れた状態で最も明るくなったときを露出の基準とする。

 自動露光しかできない撮影装置の場合には、厳密な意味での露出調整は不可能である。しかし、露出が18%の明るさを基準に行なっていることを知っていれば、ある程度の露出補正は可能である。視野が暗くなっている状態の写真を撮影する時には露出を2段程度減らす方向に調整する。こうすれば、平均の露光量はフィルムの感度曲線の 5%濃度となり、かなり暗い画像になる。もし、2段以上の露出補正を行ないたい場合には、露出補正とフィルム感度の設定を組合わせて調整を行なう。フィルム感度設定がDXコードで自動設定になっていて解除できないなら、パトローネの感度検出モニターと接する部分に絶縁テープをはって、DXコード機能が作動しないようにする。

 視野が暗くなっている状態を撮影するときに、画面の脇に明るい状態の部分(例えば、スペーサーフィルム)を入れて、全体としては暗くはなくするのは一つの方法である。必要とする画像を得る方法は多くの場合複数存在する。

ピント調整

 写真撮影時には、まず写真用照準の視度調整を行なう。照準の中央にある線がはっきり見えるように照準鏡筒を回して調整する。中央の線は多くの機種で二重線になっている。この二重線は撮影装置のフィルム面と光学的に同じ場所にあるので、ピント合わせの基準面となる。照準の線がはっきりと見えない状態ではピント合わせは原理的に不可能である。
 写真撮影の場合には目視より注意深くピント合わせをする必要がある。人間の眼にはピント調整機能があるので、ピントが多少狂っていても人間の眼の調整範囲であればピントがあって見えてしまう。しかし、フィルム面はピント調整機能を持たないのでぼけた写真となる。照準線と試料のピント位置が違っていて眼の調整機能により試料にピンとが合ったように見えている時には逆に照準線のピントが狂う。ピント調整に当っては、つねに照準の中央の線のピントは大丈夫かを意識する必要がある。こうすれば人間の眼の調整機能によるピントの狂いは防げる。低倍率での撮影では普通の照準ではピントが合わせにくい場合がある。その場合には拡大用のアダプターを取り付けてピント合わせを行なう。中央部しか見られなくなるがピント合わせの精度は向上する。
 一眼レフカメラを顕微鏡に取り付けて撮影する場合には、高倍率ファインダーやマグニファイアーを取り付けてピント面を拡大して正確にピント合わせが出来るようにする。ファインダースクリーンが交換できる場合は顕微撮影用のものにする。

ブレについて

 ピントが正確にあっているはずであるにも関わらず写真がシャープでないときにはブレを疑う必要がある。ブレの原因は外部の振動による顕微鏡の揺れと、シャッターの作動による内部振動による揺れがある。外因性の揺れは顕微鏡を除振台の上に設置すれば軽減できる。内部振動による揺れは製品の顕微撮影装置の場合には装置特性でありユーザーサイドでの改善は困難である。一眼レフカメラを用いている場合には、振動を低減するためにミラーアップする。ミラーアップできない機種ではセルフタイマーを用いれて撮影すればよい。また、シャッターを直接押すとカメラが動くのでレリーズを用いるべきである。レリーズは普通のケーブルレリーズよりはエアーレリーズの方がレリーズ動作による振動がカメラに伝わりにくい。
 一眼レフのミラーやフォーカルプレーンシャッターのショックはカメラ本体部分にトルクを発生させる。これらのショックを抑え込むにはカメラ本体を剛直な支持台に取り付けるのがよい。顕微鏡の上に取り付けて顕微鏡により固定すると、顕微鏡の支持部分を軸に、そこから離れたカメラ部分でショックが発生するので、トルクが大きくなりブレもひどくなる。理想的にはカメラは複写台などに取付、振動が伝わらないようにべローズで顕微鏡に接続するのが望ましい。顕微鏡本体とリジットにカメラが繋がっている場合でもカメラ本体をおさえた方が振動を低減できる。
 一眼レフを用いた実測結果によると、多くのカメラで固有振動数は250Hzより低いので、シャッター速度を 1/250秒より速くできればカメラの振動によるブレは低減できる。しかし、それ以下になるとブレの影響がではじめる。振動によるブレは1/30秒程度で最大になり、それよりシャッター速度が遅くなると減衰の影響でブレは相対的に小さくなる。顕微鏡写真の本によってはシャッター速度を遅くした方がブレが少なくなるという記述があり、この記述は一眼レフのシャッターショックに関する実測結果と矛盾しない。

フラッシュ撮影

 液晶のスイッチング過程の撮影を行なう場合には電圧印加用の外部電場と同期した短時間での撮影が必要になる。通常のカメラ用ストロボ(エレクトリックフラッシュ)は閃光時間がミリ秒程度なので、それほど速くない現象はカメラ用ストロボを光源にすれば撮影できる。より速い光源が必要な場合には、マイクロ秒程度までならストロボの発光をサイリスタで制御するか、特殊用途のストロボを用いればよい。ナノ秒オーダーのパルスが要求される場合には、適当なパルスレーザーを用いる必要がある。
 ストロボの発光タイミングは、印加電源からのタイミング信号で行なう。特殊用途のストロボでは外部信号による同期機能のあるものを用いればよい。写真用のストロボはストロボでは電源からのタイミング信号を用いた電子的な開閉回路で駆動する。回路の設計を思いつかない場合には、ストロボのスレーブ発光ユニットを買ってきて、フォトダイオードの足をちょんぎって、そこに外部信号を接続すれば使える(こともある)。タイミングパルスと発光の間には遅れや揺らぎがあるので、デジタルオシロスコープで発光のタイミングを確認しておく。
 ストロボ撮影の露出制御には2つの方法が有る。一つは、TTL自動調光機能つきの一眼レフカメラを用いること。もう一つはストロボの測光が可能で顕微鏡用のアタッチメントがある露出計を用いることである。一眼レフを用いる場合は、そのカメラに対応したストロボを使わなければならない。また、発光のタイミングをとるために、接続コードの発光制御部だけを切って、外の回路につなげる工夫が必要になる。また、この場合には18%の明るさを仮定する露出基準となってしまう。
 露出計を使う場合には、ストロボは手動発光となる。露出計としては、ミノルタのオートメーターまたはフラッシュメーターにブースターII型アタッチメントを取り付けたものが利用できる。また、ゴッセン社の露出計にも顕微鏡用のアタッチメントがあるという。ストロボとしては、ガイドナンバーよりはフラッシュ管のサイズで選択する。発光部分が広いものは、かえって迷光を増やす危険性がある。
 ナノ秒スケールの現象を取扱たいときにはさらに特殊は放電管を用いるか、パルスレーザーを用いる必要がある。これをきちんとやるには、レーザーのことも含め多くの知識と技術が必要となる。