黒と白

写真はスエーデンQPcard社製のQPcard101である。

スエーデンQPCARD社製のWPCard101;三浦織物株式会社企画営業課長三浦宗之氏提供

3枚目は左側のQPCARDというロゴとトンボなどが切れているが、3つとも同じカードである。カードの雰囲気は一番上の写真が3枚の中では一番正確に再現している。2枚目は黒い部分が灰色になり、白い部分は背景(一応グレー)と区別が付かなくなっている。一方、3枚目は白が灰色になり、灰色が黒となっている。

3枚の写真とも、中央部のスポット測光設定で自動露光撮影をしている。カメラからすれば、3枚とも妥当な露出の写真になっているはずである(実際には、多少の明るさのずれがあるので、ターゲットとすべき四角の外側の影響もある程度は受けているようだ)。しかし、人間の目からすれば、2枚目と3枚目は明らかに露出の失敗がある。

測光する部分により写真がこれだけ変わってしまうのは、写真の適正露出概念がそういう物だからである。つまり、露出計は、計測したところの(平均値)を中間的な灰色となるような装置なのである。だから、偏光顕微鏡写真などで、暗視野状態を撮そうとしても、露出計は黒く写って欲しい部分が、灰色になる程度の長時間露出をかけ、出来上がった写真は期待された物からほど遠いものになってしまう。ちなみに、3枚の撮影条件は、絞りは全てF6.7で、シャッター速度は上から1/7,1/3,1/34秒となっている。ということは、真っ黒な所を露出計で測定して、ある値が出てきたら、それより短い露出時間を設定すれば、黒が黒い状態の写真がとれるはずである。それをもう少し厳密にするために、露出を変えたときに画像の明暗がどうなるのかを系統的に調べてみよう。

露出時間1秒

露出時間1/2秒

露出時間1/4秒

露出時間1/8秒

露出時間1/15秒

露出時間1/30秒

露出時間1/60秒

露出時間8秒だと、白い部分が多少灰色になっているので、適正露出より少し不足していることは分かるが、ここを基準に話を進める。ここより露出が増えると灰色が白っぽくなり、また、黒も灰色になっていく。露出量が4倍になる(1/2秒)となると、もはや黒は明るくなっており、1/8秒の灰色部分と大体似た明るさになっている。ということは、全体が黒っぽく見える状態で露出をはかったら、それから4倍露出量を少なくすれば、黒が黒く写るはずである。一方、露出が短い方に着目すると、露出が1/30の時の白が1/8の灰色とほぼ似た状態になっている。ということは、偏光顕微鏡で、これ以上ないくらい明るく感じる状態で露出を合わせたなら、指示されているものより4倍露出をかけると、そこが白く写るはずである。

この議論は、かなり大雑把な物で、実際には露出の対象となる「黒」や「白」の程度により話は異なる。また、フィルムやCCDの露光許容量によっても、条件は変わってくる。しかし、ここでの考え方は一般に成立しており、厳密な程度は別として、黒を黒く撮したいときは露出を減らし、白を白く撮したいときは露出を余計にかけるようにしなければならない。

TOP私家版実験講座 - 黒と白