オリンパスレンズのマウント変換

 ある日気がついたら、オリンパスの一眼レフシステムの製造販売が終了していた(2002年2月;2003年3月一杯で完全に撤退した。)。頭を抱えた。何しろマクロレンズが充実しているのにつられて、オリンパスのボディーとマクロレンズを買いそろえていたのだ。もちろん、レンズによっては他社でも代替となる品があるものもある。しかし、20mmから135mmまで、ほとんどフルラインアップを揃えたレンズが、活躍する機会が失われていくのは悲しい。なんとかして、これらのレンズを他社の一眼レフボディーなどで使い回すすべを考えようと思った。 

 マウント変換といえば、近代インターナショナルや近江屋からいくつかの変換アダプターが販売されている。しかし、オリンパスレンズに限ると、近代インターナショナルからEOSとライカL変換アダプターが販売されているのみである。つまり、それ以外のボディーへの装着には少しばかりの工夫が必要になるわけである。

マウント変換アダプターには2つのクラスがある。一つ目はフランジバックの調整が行われているもので、これは無限遠がきちんと出る。このためには、ボディー側メーカー規格よりもレンズ側メーカー規格のフランジバック長が長くなければならない。例えばOMのフランジバックは46mmで、EOSは44mmであるので、フランジバックを調整したアダプターが存在するが、ニコンFマウントはフランジバックが46.5mmなので、OMレンズをニコンボディーに取り付けようとすると、補助レンズなしには無限遠は出ない。また、この種のアダプターの場合にはボディー側の口径がレンズ側の口径よりも大きいことがフランジバックが同程度の場合には望ましい。OMとプラクチカではOMの方がフランジバックが長いにもかかわらずコンバータがないのは、需要が少ないという理由の他に、プラクチカのマウント口径が大きくないことも影響しているのではないかと思う。OMとライカLのようにフランジバックが大きく異なる場合には、ボディー側のマウント径が小さくてもコンバータは存在する。

マウントアダプターの二番目のクラスは、フランジバックが調整されていない物である。この場合、レンズは、あるボディーに物理的には装着できるが、レンズ本来の性能を発揮できない場合もあることになる。アダプターを自分で作る場合には、よほど、きちんとした設備をもっていて工作が出来る場合を除いては、こちらのスタイルにならざるを得ない。市販品では、近代インターナショナルのユニバーサルベローズ用のレンズアダプターがこの手のアダプターとなっている。また、天体望遠鏡などのTマウントアダプターの中にもこの手の物があるかもしれない。

さて、今回はOMレンズの中でもマクロレンズの活用を考えているので、アダプターとしては二番目のクラスのもので用が足りることになる。50mmや90mmマクロは近距離補正機構を備えているので、無限遠が出ていないとマクロ性能がきちんとは発揮されないわけだが、この2種類のマクロレンズについては、いざとなれば他のメーカーでも代わりとなるものが販売されている。あまり、代わりのない、135mm,80mm、38mm.20mmは近距離補正機構がないので、無限遠があっていようが(大体、後ろの3種は無限遠すら存在しない)関係なく使うことが出来る。

 こうなると、フライスや旋盤を使えなくてもいくつかの可能性が出てくる。市販のアダプターを組み合わせればOMから他のマウントへの変換には次に記すような手法がありうる。

  1. 近代インターナショナルのユニバーサルベローズでレンズ側をOMで、ボディー側を希望のマウントで揃える
  2. ケンコーテレプラスのジャンクのOMと希望のマウントを探して、それらのマウントを組み合わせて内部のレンズを外す
  3. OM/Cマウントアダプターと、T/希望のマウントアダプターなどをなんとか組み合わせる
  4. ボーグのM42システムとOM/Lマウントアダプターを組み合わせる

である。1は確実だし、工作技術はまったく必要ないが、ベローズとマウントで定価ベースで6万円を超えるあたりに悩みがある…。2は、OM用と他のマウントのテレプラスがマウントを簡単に交換可能か判らないので、安いジャンクが出るのを待って長期戦につっこむことにする。4のボーグシステムについては、後で述べることにして、まず、3番について具体的にニコン変換アダプターの紹介しよう。

Cマウント変換アダプター、Tマウント変換アダプターを用いたOM-ニコンアダプターの作製手順

必要なもの

  1. OMレンズをCマウントカメラに装着するための変換アダプター(2003年7月でケンコーより販売されている)。
  2. TマウントをニコンFマウントに装着するためのアダプター(2003年7月でいくつかのメーカーより販売されている)。
  3. エポキシ接着剤
  4. 工具(ドライバー)

Cマウント変換アダプター(右)とTマウントアダプター。Tマウントの方は、在庫の都合で、ニコンではなく、オリンパス用のアダプターの写真となっている。

変換アダプターを作る時に、一番気をつけなければいけないのは、メスのマウントとオスのマウントの軸をどこまで正確に合わせられるかである。ここで、軸のズレ(偏心)が生じると画像の質が悪くなる。(とはいえ、マクロだけなら、おそらくは、イメージサークルが十分にとれるのでそれほど問題はないかもしれない。)

CマウントアダプターはマウントのメスとCマウントのオスがついている。このオスの方のネジをドライバーで外す。(写真)

Cマウントアダプターのネジを外して、そこを抜いたところ。Cマウントの接続部分(右)はそのうちに使えるかもしれないので、取っておくとよい。

次ぎにTマウント変換アダプターの横のネジを緩めてTマウント部分を外すようにする。一旦外した後、ネジを再び締める。ネジの頭が中に十分に入ったら上からTマウント部分を中に落とす。中にねじ込んだネジの上にTマウント部分が乗って平行が出ていることを確認してエポキシで固定する。

Tマウントのリング部分を外したところ。カメラマウント側の止めネジを中に締めこんで、突起を作り、そこにTマウントのネジ部分を裏返して落とし込む

これが落とし込んだ状態。リングの端が外にはみ出ているのが分かると思う。この部分をつかって、Cマウントアダプターとの軸あわせを行う。

Tマウント部分の細工がすんだら、Cマウントアダプターの下にTマウントのはみ出た部分を入れる。そして、Cマウントの止めネジを目視で軸が揃うように締める。その後、エポキシで固定する。

以上でアダプターは完成である。これで、ニコンのカメラにオリンパスのマクロレンズを取り付けられるようになる。

完成したアダプター。右側がOMメスで左側がニコンFオスになっている。

アダプターを介して、OMレンズをニコンボディーに取り付けた状態。ちなみに、カメラは業務用のもので、普段は顕微鏡に取り付けてある。

上記の組合せでの撮影。方眼紙を接写した。ほぼ等倍である。OMの80mmマクロは0.5~2倍で性能を発揮する。写真を見ても、歪みもほとんどなく(周辺が少し暗い気がするが…)きっちりと写っている。

M42システムを用いたアダプター

ボーグのM42システムには、いろいろなアダプターがある。一旦、M42への変換ができれば、その後、多くのカメラへの変換が可能である。しかし、問題が一つある。OMからM42へのアダプターは存在しないのである…。そこで、この部分だけはなんとか考えなければならない。

  1. OMから近代インターナショナルのOM-ライカL変換アダプタでLマウントに変換(これは、フランジバックの出ている方でも出ていない方でも、どちらでもよいだろう。金額はフランジバックが出ていない方が安い)。それから、ボーグのライカL-M42マウントでM42へ。
  2. OMからケンコーなどで出ているOM-Cマウント変換アダプターでCマウントに。これから、ボーグのCマウント-M42変換アダプターでM42へ。
  3. 適当なOMのメスフランジをM42システムの適当なアダプターに取り付けて、OMからM42へ直接変換。

以上の3パターンがとりあえず、現時点で、さほどの工作技術なしに可能な方法だと思う。1と2は工作技術は一切必要ない。3は、エポキシ接着剤を使ったことがあれば、なんとかなるだろうと思う。(3については、できれば無限遠が出るようにしたいよで、どのように作りつけるかを思案中であらためて、作製手順を紹介する予定である。)。

1,近代インターナショナルのアダプター

 近代インターナショナルのOM-Lアダプターは2003年カメラアクセサリーカタログには掲載されているが、6月現在でWebページには掲載されていない。都内のカメラ店に取り寄せ依頼をしたところ、メーカー確認の上取り寄せを受けてくれたので注文した。届いた商品を見て驚いたことは…OM純正のOM-ペンFアダプターを改造した製品だったことである。OM-ペンNFマウントアダプターは、すでにオリンパスからは販売されていない商品であり、中古市場でも安くはない。近代インターナショナルの発注先が、どの程度アダプターを確保しているか(個人的にはOMの7mmの中間リングの改造もありだろうとおもうのだけれども)によるが、将来的な供給は期待薄であろう。

 一方のユニバーサルベローズ用のOM-Lアダプターはドイツ製で、こちらは、需要があれば供給が続く可能性はあるだろうと思う。

写真:近代インターナショナルのOM-Lアダプター。購入して見たときに笑ってしまった…。

 いずれの場合もボーグの7844アダプターによりM42への変換が完了する。

2,Cマウントアダプター

 ケンコーよりOM-Cマウント変換アダプターが販売されている(2003年7月現在)。価格も数千円と上記のOM-Lマウントアダプターよりは購入しやすいものである。このアダプターはCマウントに対してフランジバックが出るように長さを調整してある。Cマウントに変換後は7527を介してM42へ変換する。このシステムではLマウントを経ての変換にくらべて、絞られた部分ができるので、出射瞳の大きなレンズでは周辺の光がケラレやすいことと、フランジバックが長くなるという問題がある。

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