研究テーマ:電気を流す有機物

研究対象:有機トランジスタ、有機超伝導、電荷移動錯体
研究手法:有機半導体開発、有機トランジスタ作成、単結晶X線構造解析、低温物性、エネルギーバンド計算

有機半導体は有機エレクトロニクスの主役としてさまざまなデバイスのなかで使われていますが、一方、化学ドープすることによって電荷移動錯体としてたいへん高伝導の有機伝導体をつくることができ、なかには超伝導を示すものも知られています。当研究室では有機トランジスタと電荷移動錯体を橋渡しするような研究を中心に、特異な電子構造を持った有機半導体の開発、電荷移動錯体を利用した有機トランジスタ作成法の開拓、有機超伝導体を中心とした有機電荷移動錯体の構造・物性の研究を行なっています。 研究手法としては、新物質の合成、デバイス作成、結晶構造解析、低温物性、バンド計算などを組み合わせて研究を行なっています。

 (1) 有機トランジスタ
有機半導体デバイスのなかでは、金属電極と有機半導体との間で良好な接触が得られないことからデバイスの性能が大きく落ちる例が数多く知られています。そのための対策法が各種研究されていますが、我々は電極として高伝導の有機電荷移動錯体を用いれば、こうした問題がいっさい起きないことを報告しました。これを発展させて同一の有機物を有機半導体と有機伝導体として用いるセルフコンタクト有機トランジスタ、カーボン/有機半導体界面を利用した有機トランジスタなどの開発を進めています。トランジスタの温度特性から有機トランジスタのトラップ状態を解析し、低温までバンド伝導を示す有機トランジスタの探索を行っています。

従来有機伝導体の構成分子として知られてきたTTF誘導体、DCNQI、ニッケルジチオラート錯体などを有機トランジスタに用いる研究を進めてきました。特異な電子構造を持った分子を利用して、大気安定なn型有機トランジスタ材料やアンバイポーラトランジスタ特性を示す有機半導体を開発しています。有機半導体として注目されている分子の電荷移動錯体の研究も進めています。

(2) 有機電荷移動錯体・有機超伝導体
有機超伝導体の超伝導特性、フェルミ面の研究、X線回折を使った構造の研究、光学的性質やラマン散乱などによる電子状態の研究などから、新しいタイプの有機超伝導体の開発を目指します。有機ドナーと対イオンが非整数の組成をもつ新しい有機超伝導体や、伝導層ごとに異なった構造が積み重なった有機超伝導体などについて、フェルミ面を調べる量子振動測定や超伝導特性の評価などの研究を進めています。

有機サイリスタ    

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