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若手支援

概要

我が国の科学技術を真にリードできる博士号を持った人材に要求されるのは、社会性・有用性・事業性などのグローバルな観点から「何を研究したらよいのか」を設定できる、研究の「マーケティングリサーチ力」のある人材である。この目標を達成するために、所属研究室において学位論文作成のための世界トップレベルの専門的研究に従事させるのと並行して、

1) 研究成果が事業化されるまでの手法とプロセスを身につける講義と演習
2) 国際的なコミュニケーション力をつけるための小人数によるコミュニケーションスキル演習
3) 材料工学の基礎を横断的に学ぶ一連の新設講義
4) 国内外インターンシップ
5) 海外留学を履修可能科目に設定し、個々の学生の適正と将来のキャリアパスを見据えた学習プログラムを用意して科学のコミュニティーばかりでなく社会の中のglobalな視野に立って研究の問題設定ができる人材の育成を目指す。

具体的には優れた博士論文を完成することはもちろんのこと、自分の研究成果やその事業化計画を英語で議論できる能力を持つ人材の育成が目標である。

1. プロジェクトマネージング(PM)一貫コースとナノマテリアルイニシアチブ(NI)一貫コース:
本学には優秀かつ博士進学に意欲のある大学院入学者には博士一貫コースに入学させ、修士1年終了時に選考を行うことにより、すでに本学修士課程に在学する優秀な学生がスムーズに博士課程に進学できるシステムが設定されている。したがって、本プログラムでは21世紀COEプログラムにおいて成果を挙げたPMコース(材料工学ビジネススクール)を発展させ、(1)これまで博士課程1年に集中していたカリキュラムに余裕を持たせるため、博士課程進学希望学生の中から一定要件を満たした学生には、修士1年終了時に選考を行い、「博士一貫コース」として、修士課程2年と博士課程1年の2年間に分散させてPMコースの講義を受けさせる。(2)同様に21世紀COEプログラムに設定したNIコース(優秀な博士後期課程学生への経済的、環境的支援の付与)を発展させたNI一貫コースにおいても学生が少人数の実習以外のPMコース講義のいくつかを受講できるようにし、社会に対する広い視野を養う。(3)NIコースの学生に対してもコミュニケーションスキルの少人数授業と、基礎を横断的に学ぶ内容で達成度評価を厳しく行うCOE材料基礎科目を受講させる。コミュニケーションスキル授業を行った後で両コース学生の海外派遣や、海外からの交換留学生との交流を行い、実践的な国際コミュニケーション力を養成する。

2. 博士課程学生への経済的支援:
21世紀COEプログラムでは選抜された約10%の博士課程学生に経済支援を行った。本申請では博士後期課程への進学意欲を高めるためにもボトムアップを計ると同時に「強いものを強く」の精神は生かしたシステムにする。すなわち、コースへの当初の採用、及び経済的な支援は全博士課程学生の約1/3を考えるが、講義取得、学会発表、論文発表などの実績に対する客観評価によってステップアップする仕組みをつくる。日本学術振興会の奨励研究員になれる程度の実績があると認められる学生には、経済的支援もこれに近づけることを目標とする。

3. 海外有力大学との交流:
本学はすでに世界の一流校の多くと提携関係にあり、特にアジア圏では(1)清華大学との修士dual degree、(2)TIT-KAIST program (JSPS)の2つのプログラムが進行中である。(1)は修士、(2)は博士課程の学生が多数滞在している。これらの学生と専攻の博士課程学生との交流を定期的に行うプログラムを作り、英語でのコミュニケーションスキルを向上させる。(1)の修士課程学生には本学での博士課程進学をエンカレッジし、(2)の博士課程学生は博士取得後、本学でのポスドクとして雇用の機会を広げる。これら2大学に加えて、国立シンガポール大学、台湾大学、香港科学技術大学などのアジアの有力大学や欧米の提携校との短期交換留学制度を整備する。実績からみても、本コースの20%前後の学生は留学生になるものと予想される。このような取り組みによって、優秀な人材の確保を狙う。このため日本で教職を得ている外国人の事業推進担当者3名が中心になり、留学生の支援体制をとる。

4. 若手支援:
特任助教を採用し、アクティブに研究活動している若手教員に優先的に配分する。COE実験スペースなどの研究資源を配分して、特任助教が独立して研究できる環境を整備し、助教のイニシアティブのもとで行う研究を支援する。また、21世紀COEプログラムで行った研究費の若手への重点配分は継続する。

5. 他の機関との連携:
連携するAIST, NIMSはともに学生のインターンシップを奨励している。また、これらの機関が中心となって、アジアナノテクフォーラム(www.asia-nano.org)を展開し、アジア13拠点との研究、教育プログラムを推進している。アジア圏の有力校からの多くの博士課程学生の短期招聘も行うことになっており、本学の学生との交流を通じて、プロジェクトに大きなメリットがある。