ポリマーブラシ
1.はじめに
グラフトポリマーの中でも側鎖の分岐密度が非常に高いものはポリマーブラシと呼ばれている。主鎖方向の長さが側鎖長と比べて十分大きいとき、ポリマーブラシは異方性形状をとるため液晶性などの非常に興味深い性質を示すことが報告されている。
下図にポリマーブラシの代表的な合成法を示す。"graft onto"法は側鎖に官能基を持つ高分子と、末端に官能基を持つ高分子との反応により合成する方法である。この方法では主鎖長、側鎖長とも制御されたポリマーブラシが得られるという利点があるが、側鎖長が長い場合は立体障害のために反応が100%進行しないという欠点がある。
一方、"graft from"法は主鎖上の重合開始点からモノマーを重合する方法である。この方法では立体障害という問題は解決されるが、側鎖高分子の均一性(分子量分布など)を制御することが多少困難である。
"graft through"法はマクロモノマーを重合する方法である。この方法では側鎖長のそろったポリマーブラシが合成できるという利点があるが、主鎖長の制御や主鎖長の大きいポリマーブラシの合成は困難である。
このように3つの合成法にはそれぞれ長所・短所が存在するが、当研究室ではこれらの合成法を組み合わせて、多成分からなる新規ポリマーブラシを合成している
2成分からなるポリマーブラシの代表的な構造を下図に示す。ダブルシリンダー型はシリンダーの内部にもうひとつシリンダーが存在する構造で、ポリマーブラシの内部と外部とで相分離する構造をとる。プロトタイプ型は半円柱(かまぼこ型)を二つ組み合わせた構造で、主鎖に沿って左右に色分けされる。ブロック型は2種のポリマーブラシを縦に繋げた構造で、前の2つとは異なる性質を示すと思われる。
このように多成分系ポリマーブラシはその多様性のため、ミセル化挙動やミクロ相分離、会合体形成など非常に興味深い挙動を示すと考えられる。当研究室ではこのような様々なポリマーブラシを設計・合成し、それらの構造を明確にするとともに会合体形成挙動などの研究を進めている。
2.最近の研究

「ダブルシリンダー型高分子ブラシの合成と分子電線の設計」

「プロトタイプ高分子ブラシの合成と階層的会合体形成」

「両親媒性prototype高分子ブラシの合成と溶液特性」

「ブロック型新規高分子ブラシの設計と構造特性解析」

「プロトタイプ高分子ブラシと高分子電解質との静電的相互作用による高次複合体形成」