材料中に形成する5 nm~100 nm程度の内部構造を、X線を用いて非破壊的に測定する方法の一つ。
一回の測定時間は入射X線強度に反比例するので、放射光を用いると極めて短時間で測定が行えます。
高分子材料の場合SR-SAXS法の一回の測定時間は1-10秒であり、構造転移(例えば結晶化や液-液相分離)過程の時分割測定が可能となります。
2、3ヶ月に一度、つくばの高エネルギー加速器研究機構(KEK)で利用しています。
PF BL-10C の全体像。
青いハッチ内にSR-SAXS装置が設置されており、ハッチ外の諸機器でこの装置を制御します。
BL-10Cハッチ内のSR-SAXS装置の全体像。
材料中に存在する5 ~100 nm程度の構造を、X線を用いて測定する方法。
高強度の放射光を用いるKEKの測定が1回10秒程度で済むのに対し、1回の測定に1時間程度の時間を要します。
そのため、主にミクロ相分離構造の確認や十分に結晶化したサンプルの最終高次構造の測定など静的な測定に用います。
Rigaku Nano-Viewer
系内に形成された高次構造を評価するために熱分析を行う装置です。
例えば、一定の結晶化温度Tc において結晶化時間tc を変化させ、試料の融解に伴う融解熱ΔH やその融点Tm を求めるのに用いられます。
試料の熱による重量変化を測定できます。
この測定により、試料の熱分解温度、試料中の残留溶媒、試料中の未反応物質等を検知することが可能です。
試料を温度を一定のプログラムに従って変化させながら、圧縮、引っ張り、曲げ、ねじりなどの一定荷重を加えてその物質の変形を温度の関数として測定する装置です。
TMAデータでは使用したプローブによりそれぞれ異なる情報が得られます。
例えば膨張・圧縮測定では、試料の温度に対する伸びの比率から膨張率が得られます。
またガラス転移など、試料の膨張率の変化が見られるデータから、ガラス転移温度を測定することができます。
針入測定では、試料の軟化による軟化点を測定することができます。
また、針入量を用いて塗膜の厚さを計測する応用もあります。
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感度 | 0.1 μg |
測定温度範囲 | -20 ℃~1000 ℃ |
加熱・冷却速度 | 0.1~200 ℃/min. |
雰囲気 | 窒素(N2)、空気(Air) |
GPCとは液体クロマトグラフィーの一種で、サイズによって試料が固定相(ゲル)中を通過する時間が異なることを利用して相対分子量を求めたり、サイズごとに分けたりする装置です。
溶媒によって試料の広がり方は異なり、また試料によってカラムとの相互作用も異なってくるので、GPCでは絶対分子量は求められません。
当研究室にはWaters社製の分析用および分取用の装置があります。
2本のサーミスタープローブにリファレンス側に純溶媒を、サンプル側には調べたい高分子溶液(異なる濃度で3種類以上)を順次2、3滴ずつ滴下し、各サーミスタープローブの先端に液滴を1滴付着させます。
これによりサンプル側の液滴の蒸気圧が低いため、溶液蒸気の凝縮量が増加し凝縮時のエンタルピーの変化によって純溶媒側の液滴の温度よりもサンプル側の温度の方がわずかに高くなります。
このわずかな温度差を超高精度なサーミスタープローブで測定することにより、高分子の絶対平均分子量を求めることができます。
浸透圧を利用して絶対分子量を測定する装置です。
半透膜により測定セルは試料溶液側と圧力センサー側に分離されています。
圧力センサー側には純溶媒しか存在させません。
試料溶液側に非極性の溶質を溶解させた溶液を注入すると、センサー側から試料溶液側へ浸透圧が発生します。
浸透圧は、溶解している溶質の重量が同じ場合、分子量に反比例します。
異なる濃度の試料溶液を用意し、浸透圧を測定すれば、濃度と浸透圧の関係から無限希釈における溶質の分子量を求めることができます。
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測定可能分子量 | 5,000~2,000,000 |
測定溶媒 | トルエン等 |
当研究室で用いているのは一般的に「偏光顕微鏡」と呼ばれる装置です。
結晶などの複屈折をおこす物質の構造を観察するのに適しています。
装置内には2枚の偏光板が使われており、まず光源からの光は1枚目の偏光板を通過した後、観察する試料に当たります。
その後、試料に当たって複屈折を起こした光をもう一枚の偏光板を通過させ、この光を観測します。
観察する物質の構造・光を当てる方向によって、視野の中に様々な色彩が現れます。
この色の変化によって、物質の持つ構造を把握することができます。
得られた像は画像ファイルとして記録し、付属の画像解析ソフトによって詳細に解析することができます。
材料中に存在する分子は赤外線を吸収してその振動、回転状態が変化します。
このとき吸収されるエネルギー(波長と逆数の関係にある)はその結合(C=OやC-Hなど)により異なるので、物質中に含まれる分子構造の特定に役立ちます。
合成系の研究室では、主に反応の進行を追跡したりするのに用いられます。
これらの吸収は高分子の状態(非晶か結晶かなど)によっても変化します。
そのため当研究室では結晶化度の経時変化測定などにも用いています。
また、ATR(Attenuated Total Reflection = 全反射測定)法を用いることで試料表面(数 μm)の状態を測定することも可能です。
偏光子と組み合わせれば、サンプル中での結晶鎖の配向も測定できます。
JASCO(日本分光) FT/IR-6200