1. ポリマーアロイ中の高次構造と構造形成過程の解明
  2. 高分子材料中の高次構造制御技術の確立
  3. 高次構造の長距離秩序性の向上と工学的応用

1. ポリマーアロイ中の高次構造と構造形成過程の解明

 ポリマーアロイ中では、ブロック・グラフト共重合体のミクロ相分離、構成鎖の結晶化、成分間の液-液相分離等の構造形成因子が作用し、特徴的な高次構造が形成されます(図1)。

ミクロ相分離
結晶化
液-液相分離

図1. 構造形成因子と代表的な構造の概念図

 これらの高次構造と構造形成メカニズムの詳細は、今まで盛んに研究されてきました。 しかし、一般のポリマーアロイ中では構造形成因子が単独で作用するのではなく、2つまたはそれ以上の因子が複合的に作用して構造が形成されるのが一般的です。
例えば、結晶化を例にとると、図2に示すように様々な複合的結晶化が考えられます。 これらの構造形成は、先の単独の因子による構造形成に比べて、はるかに複雑です。
 当研究室では、複合的な構造形成メカニズムと最終高次構造の解明をめざした基礎研究を行っています。

結晶化の分類

図2. 結晶化を含む複合的高次構造形成

2.高分子材料中の高次構造制御技術の確立

 高分子材料中に形成する様々な高次構造を、構成高分子の一次構造から予想し制御することができれば、有益な機能や物性を有する高分子材料を創製することが可能です。 例えば、球状ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を結晶化させると、ミクロ相分離構造は崩壊しラメラくり返し構造が形成するのが一般的です(図3上)。 この結果、球晶構造が現れ、系は白濁します。 しかし、構成ブロック共重合体の分子量を調節することにより、ミクロ相分離構造を維持したままこの構造の中でブロック鎖を結晶化させることも可能です(図3下)。 この結果、透明で、かつ、力学的特性に優れた高分子材料が得られると期待できます。
 当研究室では、高次構造を制御し、有益な機能・物性を有する高分子材料の開発を行っています。

ミクロ相分離の形成パターン

図3. 球晶ミクロ相分離構造からの鎖の結晶化(概念図)

3.高次構造の長距離秩序性の向上と工学的応用

 ブロック共重合体の各種ミクロ相分離構造や結晶性高分子の作るラメラくり返し構造は、長距離で見るとその構造の規則性が完全ではありません。 この構造規則性の不完全性が、材料としての物性や機能に重大な影響を与えています(図4)。 そこで、高次構造の長距離秩序性を改善することにより、従来の高分子材料では発揮できない新しい物性や機能を有する材料を創製することも可能でしょう。
 当研究室ではこのような視点に立ち、高次構造の規則性向上に関する研究を行っています。

高次構造保持による応用例

図4. 相分離構造を利用した工業的応用例