ソフトマテリアル講座

ソフトマテリアル化学分野 鈴 木 研究室

 私の研究室では、高分子をつくり出す新しい反応の研究を行っています。高分子を合成する反応を制御したり、既存の方法ではできない新しい構造を持った高分子を合成したりするのが主な目的ですが、それに向けて、どのような分子をどような反応を使って高分子に変換するかをデザインし、実際に実験を行います。

 高分子化合物は、化学のみならず物理 (材料) や生物に至るまで広範で多様な分野と強い関わりを持っています。そのため、それらを創り出す学問=高分子合成は、新しいものを創り出すという化学的なおもしろさ以外にも、常に他分野との関わりを意識しつつ、創ったものの性質や応用までも視野に入れて研究を行なうことになり、この点が大きな魅力となります。

本研究室では、高分子合成をキーワードに次のような基本方針で研究を行っています。
1)高分子の合成反応における新たな方法論や概念の創出。
2)新しい構造を有する高分子の設計・合成とその物性・機能の探索と評価。

これらのことを実行するにあたり、有機合成化学的な考え方の上に立って高分子合成に取り組んでいます。重合反応は、文字どおり有機反応の連続であり、分子を連続して長く繋げるためには非常に高選択的な反応が必要となります。その基本となる反応から考えることによって、新構造モノマーの設計、新重合反応の開拓、そして、それに伴う新しいものの創出を達成することができるわけです。

 研究は今までに誰もやったこのとのないことをするのですから、うまく行くとは限りません、むしろ失敗の方が多いですが、たくさんの苦労をして設計どおりに分子が繋がってくれた時の喜びは何事にも代え難いものがあります。世界で初めて自分が見つけたことですから....。明日の世界に資するべく、日夜、試験管やフラスコの中の分子と語り合っています。