高分子科学講座

高分子構造分野  渡 辺 研究室

−高分子との接点から切り開く液晶科学のフロンティア−

 
 渡辺です。私が液晶と出会ったのは、今から25年ほど前、ポリペプチドの
 固体物性を調べていたときでした。温度を上げて溶融したポリペプチドが
 なんともいえない美しい色をしたコレステリック液晶となることを発見して
 から、その美しさの虜となり、液晶、それも高分子の液晶を中心に研究を
 続けています。研究室の学生と、液晶の美しさと高分子の不思議さを
 じっくりと味わい、感動を共有したいと考えています。

美しい液晶と高分子を
こよなく愛する渡辺教授

どんなことをやっているの?

(1)液晶分子の設計・合成  
 「こんなんどうや?」と思いつきの(?)化学構造式が書かれた紙切れが
 渡辺先生からポンと渡されます。それに、自分のアイディアも入れ、分
 子を設計します。液晶になるかどうかは、合成してからのお楽しみ。合
 成は手法が確立されている比較的簡単なものがほとんどです。合成で
 きたらまず、偏光顕微鏡観察で液晶になるかどうかを調べます。

(2)液晶の同定  
 液晶といってもいろいろな種類があります。偏光顕微鏡観察、DSC測
 定、X線回折測定で相転移挙動と液晶構造を明らかにします。美しい
 光学組織や配向X線パターンが出ると渡辺先生を囲んで研究室全員
 で楽しみます。2003年8月、渡辺研究室が発見したバナナ型分子液
 晶の顕微鏡写真がScienceの表紙を飾りました。バナナ型分子液晶
 の詳細は本館2階71号室前の廊下(H122講義室を出て右、突き当
 りを左)にポスターで紹介しています。
渡辺研究室で生まれた液晶がScience誌の表紙を飾る

(3)構造物性の解明
 液晶だと分かっても、それだけでは構造物性を理解したことにはなりません。液晶になることが
 高分子の物性に、逆に高分子であることが液晶の構造にどのような影響を及ぼすのかを明ら
 かにしてはじめて「液晶高分子」の本質を理解したといえるのです。液晶構造や高分子の性
 質に思いを馳せながら「こんなことあるのかな?」「こうなるはずだ」と予測を立てて測定に取り
 かかります。測定は研究室の装置(赤外分光、粘弾性、誘電緩和、光散乱、第2高調波発生、
 円偏光二色性、計算化学(量子化学計算、分子動力学シミュレーション)など)を駆使するのは
 もちろん、他研究室(学内・学外問わず)との共同研究、学外施設での測定も積極的に行って
 います。予測が当たったときは「そうなんだ」、外れたときは「どうして?」と考えると同時に、先生
 や 仲間と討論を重ね「これは間違いない」と断言できるまで測定を行います。その結果を学会
 発表、投稿論文で世界に発信します。

研究室の構成(2003年10月1日現在)

渡辺順次教授(本館2階70号室) 川内 進助手 戸木田雅利助手 博士研究員 2名
学生17名(博士課程6、修士課程7、学部生3、研究生1)(うち留学生3名)(本館2階75号室)